水の神様
天嶽神社。
私は――。
いつものように。
神様の声を聞きに――。
来ていた。
いつの間にか――。
すっかり肌寒くなり。
冬の気配を、感じる。
いつものように――。
本殿に向かって。
お参りする。
(神様――)
(いつものようにお祭り復活のための――)
(アドバイスを、下さい)
すると――。
低く――。
厳しさと優しさを感じる――。
声が。
心の中に、響く。
――お弁当屋のお手伝いをしなさい。
(わかりました)
(いつも――)
(ありがとうございます)
* * *
お参りの後は――。
いつも――。
水の神様に、挨拶する。
琉々「水の神様――」
「いつも、ありがとうございます」
すると――。
ふと――。
山の入り口に――。
目が、いった。
なんか――。
呼ばれている気がする。
陽が沈むには――。
まだ時間がある。
琉々「ちょっと――」
「滝のところまで、登ってみようかな」
私は――。
そのまま。
一人で――。
山を、登り始めた。
* * *
やっぱり――。
最初の階段が、キツい。
息を切らしながら――。
休み休み――。
登って行く。
御神木に――。
無事下山できることを、お願いし。
滝を、目指す。
以前よりも――。
ひんやりした空気は――。
まるで――。
身体を清めてもらうような――。
感覚になる。
途中――。
一歩一歩、進むにつれて。
不思議と――。
頭が、空っぽになり。
無心に、なる。
気づくと――。
いつの間にか――。
滝の音が――。
聞こえてきた。
(あ――)
(もう、滝の近くだ)
(なんか――)
(以前よりも、短く感じる)
* * *
目の前に――。
広がる、滝。
水しぶきから――。
冬の冷たさが、伝わる。
私は――。
滝に向かって――。
手を、合わせた。
自然と――。
目を、閉じて。
心の中で、伝える。
(水の神様――)
(いつも、ありがとうございます)
すると――。
いつもの――。
感覚が広がる。
木々のざわめきや――。
鳥の囁きの声が――。
ふっと、消えた。
そして――。
神様の声が――。
聞こえてくる。
でも――。
今回は――。
今までと――。
少し、違った。
神様の――。
姿が、見える!
* * *
水色の衣を――。
優雅に、纏い。
頭の上に――。
綺麗な金色の――。
髪飾り。
白く、透き通った――。
白い肌。
深い慈愛に、満ちた――。
瞳。
その姿が、見えた瞬間――。
なぜか――。
すーっと。
涙が、流れた。
そして――。
水の神様が――。
私に、優しく語りかける。
――天と人を、結ぶ者よ。
汝。
天命の道。
歩む時。
我。
共に、あり――
まるで、大きな愛で――。
包んでもらったような。
不思議な感覚。
そして――
その愛に包まれ。
涙が溢れた。
まるで。
本当の愛に――。
触れたような――。
不思議な感覚。
琉々「水の神様――」
「ありがとうございます」
すると――。
水の神様は――。
すーっと――。
消えていった。
* * *
今――。
本当の意味で――。
神様と、繋がった。
そんな――。
感覚。
不思議だけど――。
そうだと、言う――。
確信が、持てた。
私は――。
少しの間――。
滝の音を聞きながら――。
水しぶきを、浴びていた。
(少し――)
(暗くなってきたし――)
(そろそろ、行こうかな)
私は――。
来た道を、通って。
山を、降りた。
山を降りながら――。
思う。
(なんか――)
(どんどん――)
(神様との繋がる感覚が――)
(強くなってる気がする…)
* * *
いつもの部室。
いつものメンバーで――。
集合している。
紅菜「琉々――」
「なんか、今日いつもと違う気がする」
麗「うん、なんかいつもと、ちょっと雰囲気が違う」
琉々「え?」
「そう?」
姫心「なんか、いつもより軽い感じ?」
琉々「実は――」
「昨日、天嶽山の滝に行ってきたんだ」
紅菜「滝?」
「何で?」
琉々「神様に、呼ばれた――」
「気がして。」
姫心「神様に?」
琉々「うん――」
「滝に着いて、水の神様に――」
「お祈りしたら――」
「水の神様の姿が、見えたの」
紅菜「え!?」
「神様の、姿?」
琉々「うん」
「水色の衣を、纏った――」
「すごく、優しい雰囲気の――」
「神様だった」
麗「すごい!」
姫心「何か、話した?」
琉々「うん――」
「『天と人を、結ぶ者よ』って――」
「『汝、天命の道、歩む時――』」
「『我、共にあり』って――」
「て、言われた」
紅菜「『天と人を、結ぶ者』?」
麗「琉々の、使命ってこと?」
姫心「すごい――」
「琉々、神様に選ばれてる」
琉々「だから――」
「もっと、頑張らないといけないのかな」
「って思って」
紅菜「私たちも、いるし大丈夫!」
麗「一緒に、頑張ろうね!」
姫心「困った時は、いつでも言ってね!」
琉々「ありがとう」
「あ――」
「それでね、いつものこと」
「神様に聞いてきたら――」
「お弁当屋さんのお手伝いしなさいって――」
「言われた」
紅菜「お弁当屋さん?」
「この辺に――」
「そんなのあったっけ?」
麗「潮崎町の方に――」
「確か、あった気がしたけど......」
紅菜「確か――」
「あそこ、潰れたんじゃなかったっけ?」
姫心「他に、ないなら――」
「一度、そこに行ってみるのは、どう?」
紅菜「そうだね!」
「行ってみよう!」
紅菜「じゃ~――」
「また今週の日曜に――」
「集合だね!」
私たち三人は――。
頷いた。
(天と人を、結ぶ者か......)
(頑張らなきゃ)
(でも、私に出来るかな…)




