龍神様のサイン
私たちは――。
完成した色紙を、リュックにしまい。
江嶋神社を――。
引き続き回った。
紅菜「ここは――」
「宗像三女神と呼ばれる――」
「3柱の神様が――」
「祀られてるんだよ!」
麗「へ~、そうなんだ」
紅菜「それに――」
「日本三大弁財天の――」
「ひとつなんだ!」
琉々「紅菜、詳しいね」
紅菜「もちろん!」
「なんせ、神社部の主将だからね!」
姫心「......」
姫心が――。
なんか言いたそうな顔を、してた。
* * *
先に進むと――。
龍神さんが祀られている。
社殿が、あった。
鳥居を潜ると――。
七~八名の女性が。
団体で、お参りしていた。
団体のリーダーぽい人が――。
他の方に向けて、話している。
両腕に――。
たくさんの数珠を付け。
金の龍が描かれた。
チャイナ服を、着ている。
ウリエル「今日は――」
「『龍神メッセンジャー・ウリエル』である私が――」
「龍神様のメッセージを降ろして――」
「一人ずつ、お伝えします」
最初の女性が――。
ウリエルの前に、立った。
女性1「お願いします」
ウリエル「龍神様のメッセージを、降ろします」
「ありがたいメッセージを、頂きました」
ウリエル「『あなたは今――』」
「『人生のターニングポイントに、来ています』」
「『ここで選択を間違えると――』」
「『この先十年、苦しむことになるでしょう』」
ウリエル「『自分で判断せず――』」
「『誰かの力を借りなさい』」
「と、龍神様は仰ってます」
女性1「すごい!」
「当たってます!」
「これからも――」
「ウリエルさんに付いて行きます!」
ウリエル「次の方」
女性2「お願いします」
ウリエル「龍神様のメッセージを、降ろします」
「メッセージを、頂きました」
ウリエル「『あなたは、いずれ――』」
「『スピリチュアルの能力が開花し――』」
「『多くの人を救う、立場になるでしょう』」
ウリエル「『ただ、今は――』」
「『まだ波動が整っていないので――』」
「『整えるために――』」
「『水晶を身に付けなさい』」
「と、龍神様は仰ってます」
女性2「わ~!」
「嬉しい!」
「私、スピリチュアルな能力が――」
「あるんですね!」
「私も、ウリエルさんが付けてる――」
「水晶の数珠が、欲しいです!」
ウリエル「わかりました」
「私が、あなたのオーラに合わせて――」
「オーダーメイドで――」
「お作りしますね」
女性3「私も、お願いします」
ウリエル「龍神様のメッセージを、降ろします」
「メッセージを、頂きました」
ウリエル「『今後、五年以内に――』」
「『身内に、不幸があります』」
「『不幸を避けるために――』」
「『家に、神棚をお祀りして――』」
「『毎日、龍神様に――』」
「『お祈りしてください』」
女性3「え......」
「両親が、亡くなるってことですか?」
「私の家、神棚がないんですが――」
「どうしたら、いいですか?」
ウリエル「私が――」
「家の間取りを見て差し上げるので――」
「お勧めする神棚を――」
「お祀りしなさい」
女性3「ありがとうございます!」
「今日来て――」
「ほんとに、良かったです!」
ウリエル「今日は――」
「皆さんに付いてる――」
「守護龍のメッセージを――」
「お伝えさせて頂きました」
ウリエル「これは――」
「特別な力ではありません」
ウリエル「私が教える――」
「龍神メッセンジャーの講座を受ければ――」
「誰でも、龍神様と繋がることができます」
ウリエル「講座の締め切りが――」
「迫っていますので――」
「皆さん、お急ぎくださいね」
集まった女性たちが――。
次々に、講座の申込をしていった。
* * *
紅菜「なんか――」
「面白いことやってる!」
「ちょっと、話し聞いてくる!」
麗「やめなよ~」
紅菜は――。
麗の言葉も、聞かずに。
走っていった。
姫心「大丈夫かな~」
すると――。
すぐに、紅菜が戻ってきた。
麗「どうだった?」
紅菜「五万円、払わないと――」
「見てもらえないって、言われた」
麗「高!」
姫心「高校生の私たちには――」
「払えない額だね」
紅菜「琉々も――」
「龍神様と、話せる?」
琉々「う~ん、どうだろう~」
「やってみる」
四人で――。
龍神様の社に――。
手を合わせて、参拝した。
(龍神さん、こんにちは)
(私の声が、聞こえるなら――)
(何か、サイン下さい)
すると――。
突然――。
ビューッと、風が吹き。
木々が、揺れた。
(あ――)
(私の声、聞こえてるかも)
* * *
すると――。
麗が――。
空を、指差して言った。
麗「ねー!」
「あの雲――」
「龍に、見えない?」
紅菜「どれ?」
麗「龍神様の社の――」
「ちょうど、上」
姫心「ほんとだ!」
「龍だ!」
琉々「すごい――」
「昇竜だね」
紅菜「どこどこ?」
姫心「もう、ほら――」
「あそこ」
紅菜「うぁ~!」
「すごい!」
「ほんとに、龍に見える!」
麗「四人で――」
「あの雲の龍と――」
「写真撮ろう!」
パシャ。
姫心「どう?」
「上手く、撮れた?」
麗「バッチリ!」
紅菜「すごい!」
「龍神様、映ってる!」
私たちが――。
騒いでいると――。
周りの人も、空を見上げ。
口々に――。
「龍だ!」
と、叫んでいた。
紅菜「私たち――」
「龍神様に、歓迎されてるね!」
麗「ほんとだね」
姫心「うん」
私も――。
頷いた。
(龍神さん、ありがとうございます)
私たちは――。
龍神さんの社を、後にして。
引き続き――。
江嶋神社を、散策した。
* * *
紅菜「やっぱり――」
「ここも、外国人の人――」
「多いよね」
麗「そうだね~」
そんな話を、していると。
姫心「キャッ」
隣を歩いてた、姫心が――。
外国人の観光客と――。
ぶつかったようだ。
姫心「うわ~」
姫心を見ると――。
外国人が飲んでいた――。
コーヒーが――。
Tシャツに、かかっている。
外国人の人が――。
かかったコーヒーを見て。
何度も、謝っている。
カタコトの日本語で――。
外国人「スミマセン、スミマセン」
姫心「だ、大丈夫です…」
と、言いながらも。
明らかに落ち込む、姫心。
麗「姫心、大丈夫?」
「あ~、これ――」
「落ちないかもね」
姫心は――。
涙目になりながら。
一生懸命――。
ハンカチで――。
コーヒーを、拭いている。
琉々「あそこに――」
「化粧室あるから――」
「一緒に、行こ」
小さく頷く、姫心を連れて。
化粧室に、向かった。
結局――。
コーヒーが、落ちないので。
着替えた、姫心。
紅菜「小さな、不幸......」
麗「やだ――」
「私と琉々にも――」
「起こるじゃん」
私も――。
急に、怖くなってきた。
紅菜「小さな不幸だから、大丈夫だよ」
「先に、行ってみよう」
私たちは――。
道なりに進んで行った。
* * *
アップダウンの、階段を進むと。
先に――。
海が、見えた。
紅菜「わ~――」
「海だ~!」
麗「綺麗な、景色~」
姫心「風が気持ちい~」
琉々「海って――」
「なんか、すごく癒される」
紅菜「ね~――」
「ほんと、癒される~」
麗「なんとか――」
「スケジュール通り――」
「回れたね」
「これも、姫心のおかげだよ」
姫心が――。
照れくさそうに、笑った。
姫心「そんなこと、ないよ」
琉々「姫心――」
「いつも、ありがとうね」
紅菜「姫心、ありがとう」
姫心は――。
恥ずかしそうに、笑った。
私たちは――。
少しの間――。
海を――。
ぼーっと、眺めていた。




