ドタバタ七福神巡り②
十分ほど、歩いて――。
私たちは――。
織崎八幡宮へ、到着した。
境内は――。
観光客で、賑わっている。
赤い、鳥居。
大きな、社殿。
風に揺れる、木々。
砂利を踏むたびに――。
ジャッ、ジャッと音が鳴る。
その音が――。
なんだか、心地いい。
紅菜「やっぱり、ここ――」
「人、多いね」
紅菜が――。
辺りを、見回した。
麗「外国の人も、多いよね~」
麗も――。
周囲を、見渡す。
姫心「昔より、増えたよね」
姫心が、頷いた。
四人で――。
境内を歩きながら。
本殿へ、向かう。
その時。
紅菜「神社に砂利が敷いてあるのって――」
「意味が、あるんだよ」
紅菜が――。
得意げに、言った。
麗「え、そうなの?」
麗が、首を傾げる。
私も――。
気になって。
紅菜を、見る。
すると紅菜は――。
ニヤニヤしながら、黙った。
どうやら――。
もったいぶっているらしい。
それを見た姫心が――。
小さく、笑う。
姫心「"邪離"だよ」
「邪を離す、って意味」
姫心「砂利の上を歩くことで――」
「邪気を払って――」
「身を清めるって、言われてるの」
麗「へぇ~!」
麗が――。
感心した声を、上げた。
麗「姫心、詳しいね」
紅菜「あ~!!」
紅菜が――。
頬を、膨らませる。
紅菜「なんで、姫心が言うの~!」
「私が、説明したかったのに!」
姫心「紅菜が――」
「なかなか言わないから、でしょ」
姫心が――。
呆れたように、言う。
紅菜「もう~!」
「姫心、きらーい!」
麗「はいはい」
麗が、苦笑した。
麗「邪も、払われたことだし――」
「ちゃんと、お参りしよ?」
紅菜「はーい......」
紅菜が――。
投げやりに、返事する。
そんなやり取りを、しながら。
私たちは――。
本殿へ、向かった。
* * *
鮮やかな赤い社殿が――。
青空に、よく映えている。
麗「神社の赤って――」
「すごく、綺麗だよね」
麗が、呟く。
すると。
紅菜「この赤色にも――」
「意味が、あるんだよ!」
紅菜が――。
待ってましたと言わんばかりに、言った。
そして――。
チラッと、姫心を見る。
どうやら――。
今度は、姫心が知っているか。
確認しているらしい。
姫心は――。
少し考えて。
姫心「......それは、知らない」
そう、答えた。
その瞬間。
紅菜の顔が――。
パッと、明るくなる。
紅菜「神社の鳥居とか社殿が赤いのはね!」
「赤に魔除けの力があるって――」
「考えられてるからなんだよ!」
麗「へぇ~!」
麗が、感心する。
姫心「それは、知らなかった」
姫心も、頷いた。
私は――。
赤い鳥居を見上げながら、言った。
琉々「砂利も赤色も――」
「邪や穢れを払って――」
「神聖な場所を、守るためなんだね」
紅菜「琉々!」
「まさに、そうなの!」
紅菜が――。
嬉しそうに、身を乗り出す。
麗「紅菜様――」
「勉強になります」
麗が――。
ふざけて、頭を下げた。
紅菜は――。
得意げな、ドヤ顔。
それを見て――。
姫心が――。
呆れたように、ため息をつく。
私たちは――。
笑いながら。
本殿で、手を合わせた。
* * *
お参りの後。
私たちは――。
弁財天さんのいる池へ、向かう。
その途中だった。
紅菜「あ」
紅菜が――。
急に、立ち止まる。
そして――。
何かに引っ張られるみたいに。
右の方へ、歩き出した。
琉々「紅菜?」
後を追うと――。
そこには――。
小さなお稲荷さんの鳥居が、並んでいた。
紅菜「やっぱり!」
紅菜が――。
嬉しそうに、振り向く。
紅菜「なんか――」
「お稲荷さん、いる気がしたんだよね!」
麗「紅菜の勘て、すごいね~」
麗が、感心する。
私たちは――。
お稲荷さんにも、挨拶してから。
弁財天さんのところへ、向かった。
池へ続く、途中。
小さな赤い橋が、ある。
そこで。
数羽の白い鳩が――。
私たちを出迎えるみたいに。
集まっていた。
麗「わぁ~!」
「かわいい!」
麗が――。
目を、輝かせる。
紅菜「え!?」
「白い鳩って、珍しくない?」
紅菜が――。
驚いた声を、出す。
姫心「私も、初めて見たかも」
姫心も――。
じっと、鳩を見る。
琉々「なんか......」
「神様の、使いみたい」
私が、そう言うと。
風が――。
ふわっと、吹いた。
白い羽が、舞う。
その光景が――。
妙に、神秘的だった。
麗は――。
夢中で、写真を撮っている。
紅菜は――。
鳩に、話しかけている。
姫心は――。
少し離れた場所から。
静かに、眺めていた。
それぞれ――。
反応が違うのが、面白い。
* * *
麗の写真撮影が、落ち着いたあと。
私たちは――。
弁財天さんの前へ、向かった。
四人で並び――。
手を、合わせる。
すると紅菜が。
紅菜「天嶽神社のお祭りが――」
急に――。
大きな声を、出した。
紅菜「復活できますように――!」
「どうか、お願いします!!」
周りの人が――。
少し、こちらを見る。
私と姫心は――。
慌てて、小さめの声で続いた。
琉々「どうか......」
「お願いします」
姫心「お願いします」
麗は――。
笑いを、堪えている。
紅菜「これで、バッチリだね!」
紅菜が――。
満足げに、胸を張った。
姫心「紅菜」
姫心が――。
呆れた顔で、言う。
姫心「御朱印、忘れてるよ」
紅菜「あっ!」
紅菜が、固まる。
紅菜「そうだった!」
近くの授与所で――。
御朱印を書いてもらい。
私たちは――。
次の目的地へ、向かった。
* * *
宝条寺。
正隆寺。
本願寺。
七福神巡りを、続けながら。
私たちは――。
鎌倉の町を、歩く。
そして。
長谷部寺へ向かうため――。
ローカル電車の駅へ。
向かっていた時だった。
紅菜「あ!」
紅菜が――。
突然、声を上げた。
紅菜「せっかく、ここまで来たんだから――」
「私、"銭洗い弁天"行きたい!」
麗「たしかに――」
「私も、行きたいかも~」
麗が、頷く。
紅菜「姫心――」
「スケジュール的に、大丈夫?」
姫心「うーん......」
姫心が――。
スマホを、見る。
姫心「一時間くらい、ロスするけど――」
「多分、なんとかなるかも」
紅菜「やったー!」
紅菜が、飛び跳ねる。
紅菜「じゃあ、行こう!」
* * *
二十分ほど、歩いて。
岩の洞窟みたいな入口を、抜けると――。
銭洗い弁天に、到着した。
紅菜「やば......」
紅菜が、固まる。
紅菜「人、めっちゃいる」
本殿には――。
長い行列が、できていた。
麗「これ――」
「四十分くらい、かかりそうだね~」
麗が、苦笑する。
姫心も――。
困った顔。
姫心「これは、ちょっと厳しいかも」
「今回は、諦めよう」
紅菜「えぇ~......」
紅菜が――。
露骨に、落ち込む。
紅菜「せっかく、来たのに~」
麗「わがまま、言わないの」
麗が――。
軽く、叱る。
麗「今日中に、七福神巡りしないと――」
「お祭り復活の、お願いできないでしょ?」
紅菜「はーい......」
紅菜が――。
しょんぼり、頷く。
私も――。
少し、残念だった。
でも。
せっかく姫心が――。
スケジュールを、考えてくれたんだ。
琉々「また今度――」
「みんなで、来ようよ」
私が、言うと。
紅菜が――。
パッと、顔を上げた。
紅菜「うん!」
「絶対、また来ようね!」
* * *
ローカル電車の、駅。
ホームに入ってきた電車に――。
私たちは、乗り込む。
紅菜「ね~、姫心~」
紅菜が――。
お腹を、押さえる。
紅菜「私、お腹空いたんだけど~」
姫心「もう」
姫心が、呆れる。
姫心「紅菜、文句多い」
紅菜「だって〜」
麗「紅菜」
麗が――。
呆れたように、言った。
麗「せっかく、姫心が予定組んでくれたんだから――」
「もうちょっと、我慢しなさい」
紅菜「は~い」
紅菜が――。
不満そうに、返事する。
そんなやり取りを、聞きながら。
私は――。
少し、笑った。
その時だった。
後ろで。
大きな笑い声が、響く。
振り向くと――。
観光客の男性が。
大きく手を叩いて、笑っていた。
次の瞬間。
その手が――。
スマホに、当たる。
男性「あっ!」
スマホが――。
ホームへ、落ちた。
私は――。
反射的に、動いていた。
ホームへ飛び降り――。
スマホを、拾う。
その瞬間。
プシュー......
無情な音が、響いた。
(あ――)
電車のドアが、閉まる。
振り向くと。
窓越しに――。
紅菜たちが。
驚いた顔で、こちらを見ていた。
ガタン。
ゆっくり――。
電車が、動き出す。
紅菜「琉々ー!!」
紅菜の、声。
でも――。
電車は、止まらない。
そのまま――。
行ってしまった。
私は――。
ホームに、一人取り残される。
静かになった、ホーム。
その時。
スマホが――。
ピコンと、鳴った。
紅菜からだった。
『琉々!』
『長谷部寺の駅で、待ってるね!』
私は――。
お辞儀するスタンプを、送る。
(あ~......最悪)
(みんなに、迷惑かけちゃったな......)
そう思いながら――。
私は――。
小さく、ため息をついた。




