表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/39

満月の歌姫

いつもの、部室。


紅菜「琉々――」


「相変わらず、神様のミッションは無い?」


琉々「うん――」


私は、首を振る。


琉々「何度か足を運んだけど――」


「何も、聞こえないんだよね」


紅菜「そうなんだ~」


「ミッションにも、タイミングがあるのかな?」


琉々「そうかも」


姫心は――。


今日は、剣道部の練習でいない。


麗は――。


いつものように。


パソコンで、何か作業している。


紅菜「あ、そういえば――」


「麗、天嶽神社のアカウントって――」


「どうなってる?」


麗「ちょっと、見てみるね」


麗が――。


パソコンを操作する。


麗「え!?――」


「ちょっと、二人ともこれ見て」


紅菜「なになに?」


私と紅菜が――。


麗のパソコンを、覗いた。


紅菜「なにこれ!?」


「フォロワー、八百三十二人!?」


「え!? どういうこと?」


紅菜「麗、何かやった?」


麗「いや――」


「天嶽神社の写真を、何枚か投稿しただけで――」


「たいしたこと、やってない」


琉々「なんでだろうね?」


「不思議…」


麗「う~ん――」


「ちょっと、調べてみるね」


そう言って――。


麗はパソコンを、カタカタ叩き始めた。


紅菜「もしかして、これも神様のおかげ?」


琉々「たぶん、違うと思う......」


そんな話を、していたら。


麗「これだ!」


「原因、わかった!」


「二人とも、これ見て!」


また――。


二人で、麗のパソコンを覗いた。


* * *


そこには――。


銀髪の少女が。


天嶽神社をバックに――。


歌を、歌っている。


満月の光を浴びながら――。


歌声が、響き渡る。


目元は――。


狐のお面を、被っていて。


歌う口元が――。


とても、印象的だ。


服は――。


和服とゴスロリを、掛け合わせたような服。


黒をベースに――。


ところどころに散りばめられた。


金色の月や花が、目を惹く。


天嶽神社は――。


まるで、時を遡るように。


美しい本殿へと、変わっていく。


麗「このPV、めっちゃいいね!」


「てか、歌めっちゃ上手い」


紅菜「うん――」


「なんか、遠い記憶を思い出させるような――」


「不思議な、歌声…」


(あ――)


(この子、駅ですれ違った子だ......)


(でも、なんだろう)


(何か心の奥に引っ掛かる、この感じ)


麗「この動画――」


「三十万再生も、されてる!」


「この動画にある『#天嶽神社』が――」


「天嶽神社のアカウントが増えた理由かも!」


紅菜「この子のおかげで――」


「天嶽神社が、多くの人に知ってもらえるね!」


「ありがたい!」


麗「そうだね!」


「お祭りに繋がる、良いきっかけになるかも!」


琉々「うん、そうだといいな」


(それにしても――)


(さっきから、急に背中の辺りが痛い)


(なんでだろう? 昨日寝違えたかな?)


* * *


紅菜が――。


何か思いついたかのように、立ち上がった。


紅菜「そっか!」


「天嶽神社で何かやって――」


「動画アップすれば――」


「もっと多くの人に、知ってもらえるんじゃない?」


麗「なるほど」


「悪くないかも」


「でも、どんな動画がいいかな~」


紅菜「う~ん、全然思いつかない」


「とりあえず――」


「手当たり次第、やってみたらいいかもね!」


麗「そうだね」


紅菜「じゃ~、今度――」


「姫心も呼んで――」


「天嶽神社にアップする――」


「動画の企画会議を、しよう!」


私と麗は――。


頷いた。


* * *


後日。


いつもの、部室。


紅菜が――。


ホワイトボードの前に、立って。


紅菜「それでは――」


「第一回、天嶽神社の動画会議を――」


「開始します!」


「みんな、なにかアイデア、考えてきた?」


姫心「無難に――」


「掃除している動画とか、かな?」


紅菜「おぉ~、それ良いね!」


「採用!」


麗「巫女服着て――」


「掃除するとかは?」


紅菜「おぉ~、それも採用!」


琉々「みんなで――」


「大祓を唱えるとかは?」


紅菜「おぉ〜、それも採用!」


紅菜「じゃ~、みんなで、巫女服着てやろう!」


麗「まずは――」


「巫女服を作るところから、かな?」


「で、それ着て――」


「いろんなこと、するってのはどう?」


紅菜「そうしよう!」


姫心が――。


遠慮がちに口を開いた。


姫心「私......」


「顔出すの、ちょっと嫌かも......」


紅菜「え~」


「みんなで着て、撮ろうよ~」


麗「まぁまぁ――」


「私も紅菜と同じ気持ちだけど――」


「姫心が嫌なら、しょうがないよ」


姫心「ごめん......」


「私、撮る役するから――」


「三人の動画、アップするのはどう?」


紅菜「う~ん――」


「やっぱり、みんなで一緒にやりたいから――」


「別の案を、考えよう!」


姫心「わがまま言って、ごめん」


麗「姫心、全然気にしないで」


「なにか別の案を、考えよう」


紅菜「ひとまず――」


「動画アップの件は、保留にしよう!」


「何か、また案が浮かんだら――」


「みんなで、考えよう!」


麗「そうだね!」


姫心「ほんとに、ごめん」


琉々「姫心、ほんと気にしないでね」


その日は――。


解散した。


* * *


夜。


姫心から、メッセージが来た。


姫心「今日は、本当にごめんね」


琉々「大丈夫だよ」


琉々「あんまり、気にしないでね」


姫心「ありがとう」


琉々「もし、話せるならで良いんだけど――」


「顔出したくない理由、聞いても良い?」


姫心「実は、小学生の頃――」


「髪の色とか、目の色のせいで――」


「よく男の子に、いじめられてて――」


「それで、人前に出るのが怖いんだよね」


「同い年くらいの男の子も、苦手で――」


「いじめられたくなくて、剣道始めたの」


琉々「そんなこと、あったんだね」


「私も小学生の頃に――」


「神様の声聞こえるって言ったら――」


「そのあと、いじめられたことある」


「だから、姫心の気持ち――」


「わかるよ」


姫心「そうなんだ」


「私と一緒だね」


琉々「でも、悠真は平気そうだけど......」


姫心「うん、なんか――」


「悠真は、平気なの」


「傷ついた猫を、介抱してるところを――」


「たまたま見て――」


「やさしいなって、思って」


琉々「悠真は――」


「あれだけ動物に好かれるなら――」


「きっと、優しい心を持っているんだろうね」


姫心「そう!」


「悠真は、なんか特別なの!」


「あ、これ――」


「紅菜には、内緒にして欲しい…」


琉々「もちろん」


姫心「琉々、話聞いてくれて――」


「ありがとね」


琉々「うん、私も姫心のこと知れて、嬉しい」


姫心がスタンプを送って来た。


お辞儀をした可愛いキャラ。


私も、スタンプを返して、やり取りを終えた。


(姫心も、私と同じで――)


(いじめられてたんだな~)


(なんか、姫心と距離が近くなった気がして――)


(嬉しい)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ