小学校侵入
翌日。
21時。
清杜高校の正門に――。
四人で集合した。
「みんな、揃ったね!」
紅菜が、元気よく言う。
「じゃ~、清杜小学校に――」
「しゅっぱ~つ!!」
「おぉ~!!」
三人も、声を上げる。
清杜小学校に向かって――。
四人は、自転車を漕ぎ出した。
* * *
「それにしても――」
紅菜が言う。
「夜の小学校で穴掘りなんて――」
「なんの意味があるんだろうね?」
「神様のお告げって、謎だよね」
「いいじゃん、いいじゃん」
麗が――。
テンション高めに、言った。
「そんなの」
「それより――」
「夜の小学校に忍び込むなんて――」
「ワクワクするね!」
「いや、ーー」
姫心が、困った顔をする。
「全然、ワクワクしないよ」
「それより――」
「先生にボコられないか、心配」
「さすがに――」
紅菜が、プッと笑った。
「ボコられないでしょ」
姫心が顔を赤くして。
「怒られないかの、間違いッ!」
自転車を走らせながら――。
くだらない会話で、盛り上がった。
* * *
こぼれ落ちそうなほど――。
輝く星空に、見惚れていると――。
麗が、口を開いた。
「それにしても、ほんと――」
「この町の夜空って、綺麗だよね」
「前住んでいたところも、田舎の方だったけど――」
「ここまで綺麗に星、見えなかったな~」
「麗も――」
私は、驚く。
「この町に、引っ越してきたの?」
「そう――」
紅菜が答える。
「麗は中二の時に、引っ越してきたんだよ」
それから――。
笑いながら、言った。
「最初から、麗は変だったよね」
「そんな変人に――」
麗が、言い返す。
「紅菜は、いっつも絡んできたよね」
「なんで?」
「だって――」
紅菜が言う。
「引っ越してきて、誰も知り合いいないのって――」
「不安じゃん?」
「だから、気になっちゃってさ」
「その頃からの、付き合いなんだ」
私は、言った。
「二人とも仲良いから――」
「もっと小さい頃からの仲だと、思ってた」
「私も、そう思ってた」
姫心が頷く。
「だって、二人ってどっか似てるよね」
「なにそれ~」
麗が、笑いながら言う。
「紅菜と一緒にしないで欲しいな~」
「私は、考えなしに行動したりしないよ」
「いやいや――」
姫心が、首を振る。
「結構、気分で動いてると思うけど」
「そう?」
「うん」
「なんか――」
紅菜が、ふと言った。
「麗とは、前世で友達だった気がする」
「なにそれ」
麗が、笑う。
「でも――」
「本当に、そうかもね」
「なんか、紅菜とは波長が合うんだよね」
それから――。
麗が、みんなを見た。
「てか――」
「このメンバーは、一緒にいて楽しい!」
「ほんと、それ!」
紅菜が、頷く。
姫心も――。
小さく、頷いた。
私は――。
みんなが同じ気持ちなのが。
すごく、嬉しくて。
気づくと、笑ってた。
「どうやら――」
紅菜が、私の顔を見て。
「琉々も、同じ気持ちらしいよ」
「みんな――」
「前世で会ってたのかもね!」
麗と姫心も――。
頷いた。
紅菜のその言葉が――。
妙に、納得できた。
* * *
そんな話をしていたら――。
清杜小学校に、着いた。
「で――」
麗が聞く。
「どこから入るの?」
「さすがに、正面突破じゃないよね?」
「チッチッチッチ」
紅菜が、得意げに言う。
「麗くん」
「忍び込むと言えば――」
「裏側っと、相場が決まってるんだよ」
「校舎の裏側は――」
姫心が説明する。
「塀が低いから――」
「私たちなら、簡単に登って入れるんだよ」
「なるほどね」
麗が、納得する。
四人は――。
校舎の裏側に回った。
二メートルほどの塀を――。
登って、小学校に入った。
* * *
「体育館の裏に――」
姫心が言う。
「倉庫があって――」
「そこに、シャベルあるから取りに行こう」
「なに――」
紅菜が、驚く。
「姫心、ずいぶんやる気じゃん」
「誰かに見つかる前に――」
姫心が、小声で言う。
「早く帰りたいの」
体育館裏の倉庫を――。
開けると。
シャベルが、三つ。
「紅菜は、これね」
姫心が、手渡す。
「なにこれ~」
紅菜が、不満そうにする。
「子供用のスコップじゃん」
「シャベル三つしかないんだから――」
姫心が言う。
「我慢して」
「は~い」
私たちは――。
倉庫前の裏庭を、掘り始めた。
* * *
「なんか――」
紅菜が言う。
「とんでもないの、出てきそうだよね!」
「金銀財宝とか!」
「子供用のシャベルで掘ってるやつが――」
麗が、笑う。
「何言ってんだか」
「わかんないじゃ~ん」
四人で――。
黙々と、地面を掘り続ける。
気づくと――。
また、麗がいない。
「あれ?」
私は、辺りを見回す。
「麗は?」
「さっきまで――」
姫心が言う。
「琉々の後ろで、地面掘って......」
その瞬間――。
「いや~~~~~!!!!!」
姫心が――。
ブルブル震えながら。
私の後ろを、指差している。
姫心の指す方に――。
振り返ると。
「きゃ~~~~~!!!!!」
馬の顔の化け物が――。
そこに、立っていた。
私と姫心は――。
腰が抜けて。
その場に、倒れ込んだ。
* * *
「麗~」
紅菜が、呆れている。
「それ、好きだよね~」
馬のお面を被った麗が――。
答える。
「だって――」
「誰かに見つかった時に――」
「顔見られない方が、いいじゃん」
姫心は――。
頭を抱えて震えているので。
馬のお面を被ったのが麗だと――。
まだ、気づいていない。
私は――。
心臓が飛び出るくらい、びっくりして。
足に力が入らず。
立ち上がれない。
「もう、麗~」
紅菜が言う。
「二人とも、びっくりして腰抜かしてるよ~」
「ごめん、ごめん」
麗が、謝る。
「そんなに驚くと、思わなかった」
紅菜が姫心を――。
麗が私を。
それぞれ――。
手を引っ張って、立たせてくれた。
「なんか――」
姫心が、震えている。
「当分、一人で眠れなそう......」
「ごめん――」
麗が、もう一度謝る。
それから――。
麗は、お面を取り出した。
「はい、これ――」
「みんなの分」
馬のお面を――。
私たちに、手渡した。
みんな――。
それを被って。
穴掘りを、始める。
* * *
「なんか――」
姫心が言う。
「この状況、とてもシュールだよね」
「馬が四匹――」
「穴を、掘ってる」
「側から見たら――」
麗が笑う。
「悪魔の儀式、みたいだね」
紅菜が――。
謎の言葉を、唱え始める。
「アンブレ~、メンソン、ドブレイク~」
麗が――。
それに続いて。
一緒に、変な呪文を唱え始めた。
「シャンメイ、ンドル、コー、ゲルメン」
「ちょっと――」
姫心が、慌てる。
「なにそれ、怖いからやめてよ~」
紅菜と麗が――。
調子に乗って。
踊り、始めた。
その瞬間――。
「誰か、いるのか?」
四匹の馬が――。
顔を、合わせた。
(やばい!!)




