次なる試練は穴掘り?
いつものように――。
放課後。
神社部の部室に――。
私たち四人は、集まっていた。
「それにしても――」
紅菜が、首を傾げる。
「この前の神様のお告げって――」
「結局、なんだったんだろうね?」
「おじいちゃんを――」
「喜ばせることが、目的とか?」
麗が言う。
「そうなのかな~」
姫心が、首を傾げる。
「なんか、違う気がする」
私は――。
申し訳なさそうに、言った。
「実は――」
「おじいちゃんから......」
「この鍵を、渡されたの......」
首に掛けた――。
龍の鍵を、みんなに見せた。
「え!?」
紅菜が、目を丸くする。
「なにそれ!? どこの鍵?」
「なんか――」
麗が、鍵を見る。
「かなり時代を感じる鍵だね」
「蔵とか――」
「倉庫の鍵っぽいね」
姫心が頬に左手を当てながら言う。
「う~ん......」
「私も、わからなくて......」
私は、首を振った。
「これを琉々に渡すために――」
紅菜が言った。
「神様が、メッセージくれたのかな?」
「どうなんだろう~」
私も、わからない。
「でも――」
「きっと、何か意味があるんだと思う......」
「ま――」
紅菜が、明るく笑う。
「お祭りに向けて、一歩前進?」
「したのかな?」
姫心が、困った顔で口を開く。
「次――」
「どうすればいいのかな~」
四人で――。
悩む。
* * *
紅菜が、提案する。
「また――」
「神様に、聞いてみるとか?」
「それがいいかもね」
麗が頷く。
「困った時の、神頼み!」
私と姫心も頷いた。
「でも――」
紅菜が言う。
「毎回、天嶽神社行くのも大変だよね~」
それから――。
私を見た。
「琉々の持ってる、お守りに――」
「聞いたりできないのかな~」
「う~ん......」
私は、考える。
「どうだろう」
「試しに、やってみる」
カバンから――。
お守りを、取り出した。
そして――。
握った。
(神様――)
心の中で、問いかける。
(聞こえますか?)
(お祭りを復活させるために――)
(また、アドバイスください)
......。
......。
何も、聞こえない。
「ダメみたい......」
私は、お守りを握りながら言った。
「やっぱりダメか~」
紅菜が、残念そうにする。
姫心が――。
苦笑いしながら、言った。
「横着は、ダメってことだね」
私は頷きながら。
「私、明日聞いてくるよ」
「私も、行くよ」
紅菜が言う。
「ううん――」
私は、首を振る。
「大丈夫」
「琉々がそういうなら。」
紅菜が返した。
「明後日、また部室に集まろう」
私はそう提案した。
「OK~!」
紅菜が、元気よく答えた。
* * *
翌日。
私は一人――。
天嶽神社に、来ていた。
この澄んだ――。
穢れのない空間。
気持ちよくて、好き。
本殿の前で――。
手を、合わせる。
そして――。
神様に、問いかける。
(神様――)
(お祭りを復活させるために――)
(また、アドバイスをください)
(お願いします)
心の中で――。
話しかける。
そうすると――。
先ほどまで聞こえていた。
木々の揺れる音。
通り過ぎるバイクの音。
それらがふっと、消える。
音のない世界で。
神様と繋がる――。
いつもの、感覚。
そして――。
あの優しく澄んだ声が、聞こえてきた。
『小学校の裏庭を――』
『掘りなさい』
(裏庭?)
(掘る?)
疑問に思いながら――。
神様に、聞き返したが。
返事は、なかった。
(なんか、変なアドバイス......)
それから――。
思い出した。
(そうだ――)
(鍵のこと、聞いてみよう)
(神様――)
(この鍵は、なんの鍵ですか?)
答えは――。
返ってこなかった。
(返事は、なしか)
帰る前に――。
お稲荷さんにも 挨拶。
手を合わせながら。
話しかける。
(お稲荷さんのおかげで――)
(友達、できたよ)
(今は前より、学校が楽しい)
(お稲荷さん、ありがとう)
* * *
次の日――。
部室。
「それでは――」
紅菜が、大げさに言う。
「琉々様から、神様のありがた〜い、お告げを聞きましょう」
三人が――。
手を合わせて。
私に、頭を下げる。
「琉々様、お願いします!」
三人が声を揃えて言った。
「ちょっと――」
私は、慌てる。
「やめてよ~」
ちらっと――。
紅菜が、私を見た。
「で――」
「アドバイス、もらえた?」
「うん」
私は、頷く。
「小学校の裏庭を掘れって、言われた」
「小学校だと――」
姫心が言う。
「たぶん、清杜小学校のことだね」
それから――。
不安そうに、続ける。
「でも――」
「勝手に入って穴掘るって、まずいんじゃない?」
「みんなが帰った――」
「夜に、侵入するしかないね!」
紅菜が、嬉しそうに言う。
「なんかーー」
「楽しそう!」
麗も、乗り気だ。
「え~」
姫心が、困る。
「絶対、まずいよ~」
「別の方法、考えようよ」
紅菜が、聞く。
「姫心は――」
「なんか、いい考えある?」
「う~ん......」
姫心が、考える。
「......今のところ、無い」
「じゃ~」
紅菜が、決める。
「決まりだね!」
「次のミッションは――」
「小学校に侵入して、穴掘りに決定!」
「本当に、大丈夫かな~」
姫心が、不安そうにする。
「大丈夫、大丈夫」
紅菜が、笑う。
「だって、神様のお告げだもん!」
姫心は――。
しぶしぶ、頷いた。
私は――。
声に出さなかったけど。
内心、すごく不安。
夜の学校に――。
勝手に入るなんて。
本当に、大丈夫なのかな......。
姫心が言う。
「それにしても――」
「神様の声聞こえるって――」
「琉々、普通にすごいよね」
麗も頷く。
「ほんと、それ。」
私は手を振りながら。
「そんなことないよ」
紅菜が両手を腰に当てて。
自慢げに言う。
「そう! 琉々はすごいんだよ!」
麗が呆れて。
「なんで、あんたが偉そうなのよ」
二人のやりとりを見て。
私は思わず、笑ってしまった。
三人もつられて笑う。
笑い声が響く、部室。
いつの間にか、それが当たり前になっていた。




