表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/26

天嶽神社のお祭り復活

放課後。


神社部の部室。


私たち四人は――。


ミーティングのため、集まっていた。


「それじゃあ――」


紅菜が、立ち上がって。


「天嶽神社を盛り上げるための会議を始めます!」


元気よく、宣言した。


「みんな、それぞれ意見を出し合おう!」


「おー!」


私たち三人も、声を揃える。


天嶽神社を盛り上げる。


それが――。


私たちの、目標。


* * *


「やっぱりさ――」


麗が言った。


「盛り上げるくらいだから」


「多くの人が集まる神社にしたいよね」


「そうだね」


姫心が頷く。


「人を集めるには――」


「神社で何かイベントやるとか?」


「イベントか......」


紅菜が、顎に手を当てて考える。


「何か、名物的なものを作るとか?」


麗が提案する。


「そもそも――」


私は、ふと思った。


「天嶽神社のご利益って、何?」


「金運? 縁結び? 厄除け?」


「なんだろう?」


みんなが、顔を見合わせる。


「紅菜、知らないの?」


麗が、驚いた顔で言う。


「えっと......」


紅菜が、少し困った顔をする。


「たぶん、厄除け?」


「たぶん?」


私も、思わず聞き返す。


「実はね――」


紅菜が、真剣な顔で話し始めた。


* * *


「私――」


紅菜が言う。


「子供の頃に――」


「覚えてないんだけど、何日も高熱で苦しんだことがあって」


「病院行っても、原因が分からないって言われたらしいの」


「それで――」


「お母さんが、おばあちゃんに話したら」


「天嶽神社の神様に、病気治るようにお願いしなさいって」


「そう言われたんだって」


「それから――」


「お母さんが、一ヶ月ずっと私を連れて通ってくれて」


「そしたら、熱が下がって治ったの」


「だから――」


紅菜が、優しく笑う。


「病気とか、厄除けのご利益があるんだと思う」


「へえ......」


麗が感心したように言う。


「紅菜、子供の頃そんなことがあったんだ」


「そういえば――」


姫心が言った。


「紅菜って、たまに体調悪くなるよね」


「そう」


紅菜が頷く。


「だから、天嶽神社には――」


「掃除も兼ねて、定期的にお参りしてるんだよね」


私は――。


紅菜の話を聞きながら。


ふと、思った。


(あ、それ多分――)


(霊障だ)


(紅菜、憑きやすいんだ)


(あれ?)


(私、なんでそんなこと分かるんだろう?)


不思議な感覚。


でも――。


確信に近い、何か。


* * *


「水の神様もいるし――」


紅菜が続ける。


「穢れを流してくれる効果もあるんだと思う」


それから――。


紅菜が、嬉しそうに笑った。


「なんか、琉々と会ってから――」


「体調いいんだよね!」


「不思議!」


「え......」


私は、驚いた。


「へえ~」


麗が、私を見て。


「琉々が、神様の力で紅菜を守ってるのかな?」


「そ、そんな......」


私は、恥ずかしくなる。


でも――。


(もしかして、そうなのかな?)


そんな気もする。


* * *


「それにしても――」


紅菜が、また考え込む。


「神社を盛り上げる案」


「なかなか浮かばないね〜」


みんな、黙り込む。


シーン......


静かな部室。


その時――。


私は、思い切って言ってみた。


「あの――」


みんなが、私を見る。


「天嶽神社で――」


「もう一度、お祭りやるのはどう?」


一瞬、静まり返った。


それから――。


紅菜が、パッと顔を輝かせた。


「それだ!!」


麗と姫心も――。


大きく頷く。


「天嶽神社で――」


紅菜が、力強く言った。


「もう一度、『お祭り』を開催しよう!」


「うん!」


私たちは、声を揃えた。


* * *


その時――。


コンコン。


窓を叩く音。


グラウンド側の窓。


振り向くと――。


悠真が、窓から覗いていた。


そして――。


その足元には。


犬?が、三匹。


白い、ふわふわの犬。


(え......?)


私は、目を疑った。


(この前は、一匹だったのに)


(増えてる......)


「あ! ゆう――」


姫心が、悠真を見つけて。


声をかけようとした、その時――。


「よ!」


悠真が、窓を開けて。


「紅菜、何してるんだ?」


「今――」


紅菜が、ムッとした顔で言う。


「大切な会議してるから、話しかけないで!」


「てか、また犬連れてるの?」


「うるせーな~」


悠真が、困ったように。


「勝手に付いてくるんだよ」


「てか、犬じゃなくて狐だよ」


狐――。


やっぱり、犬じゃなかったんだ。


でも――。


なんで、三匹も?


* * *


「紅菜だって――」


悠真が、ニヤリと笑う。


「昔はよく、俺に付いて来てたじゃねーか~」


「う、うるさい!」


紅菜が、顔を赤くする。


「そんな昔の話しないで!」


「ちょっと黙ってて!」


「また始まった......」


麗が、呆れたように呟く。


「夫婦漫才」


私も――。


思わず、笑ってしまう。


「てか――」


悠真が、部室を見回して。


「人数、増えてるじゃん」


「あれ? 咲良もいるじゃん」


「咲良、剣道部じゃなかったっけ?」


「う、うん......」


姫心が、少し恥ずかしそうに言う。


「最近、入ったの......」


「そっか」


悠真が、優しく笑う。


姫心が――。


ちょっと、頬を赤らめた気がした。


* * *


「そういえば――」


紅菜が、ふと思い出したように言う。


「悠真のおじいちゃんって」


「昔、お祭り仕切ってたよね?」


「そうだけど」


悠真が、首を傾げる。


「それが、どうした?」


「天嶽神社で――」


紅菜が、真剣な顔で言った。


「お祭りを、もう一度やりたくて」


「一回、おじいちゃんに話聞きたいの」


「ふーん」


悠真が、ニヤリと笑う。


「別にいいけど~」


「紅菜が可愛く――」


「『悠真様、お願いします』って言ってくれたら、いいよ」


「は!?」


紅菜が、目を丸くする。


「そんなの、できるわけないじゃん!」


「じゃー」


悠真が、肩をすくめる。


「紅菜のお願い、聞かない」


「......」


紅菜が、悔しそうに唇を噛む。


それから――。


小さな声で。


「ゆ、悠真......」


「お、お願いします......」


恥ずかしそうに、言った。


「......ま」


悠真が、満足そうに笑う。


「可愛かったから、それで許そう」


「そういうの、いいから!」


紅菜が、顔を真っ赤にする。


「おじいちゃん、紹介して!」


* * *


「ねえ、麗――」


姫心が、小さな声で麗に聞いた。


「紅菜と悠真って、仲良さそうだけど、なんで?」


「幼馴染だよ」


麗が、笑いながら答える。


「毎回、会うたびに夫婦漫才してるの」


「さっさと付き合っちゃえばいいのにね」


「そう......なんだ......」


姫心が――。


少し、寂しそうに呟いた。


私は――。


その様子を見て。


(姫心――)


(悠真のこと、好きなのかな)


そんな気がした。


窓の外では――。


三匹の狐が。


尻尾を揺らしながら。


悠真の足元で、じゃれていた。


不思議な光景。


でも――。


なんだか、神様の使いみたい。


神社部の――。


新しい一歩が。


始まろうとしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ