3/6
傷
三週間が過ぎた。
足の痛みは消え、こめかみの治療も終わった。
傷だけが残る。
鏡の前で化粧をしても、完全には隠れない。
女はスマートフォンを見る。
男の配信時間は知っている。
公開されている予定を見ていれば分かることだ。
その時間を避けて電話をかけた。
「足はもう大丈夫です。こめかみの治療も終わりました」
「傷は……どうですか」
女は鏡の中の自分を見る。
「まあ……少し残りましたね」
ほんの少しだけ、声を落とす。
鏡に映る傷は、とても「少し」と呼べるものではない。
それでも、すぐに笑った。
「でも化粧でだいぶ隠れますから。そんなに気にしないでください」
やがて治療費や補償の話になる。
弁護士を通し、正式に話をすることになった。
女は素直に受け入れる。
急ぐ理由は、どこにもない




