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海中もくず  作者: 椎名 園学


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戻ったらまた歌わなきゃいけないなと嫌な気になり、出来るだけ時間を潰そうと、力哉はドリンクバーで三杯ほどコーラを飲んでいた。そして4杯目を飲もうかとコップをドリンクバーに置いた時、さっきまでいた部屋から誰かが出てきた。力哉はびくっと驚き、紙コップを落としてしまう。

部屋から出てきたもくずさんはそれをそっと拾った。

「だいぶ喉乾いてたの?」

「ま、まぁ」

「このコップ汚そうだから捨てても大丈夫?」

一瞬、俺が口をつけたから汚いって言った?と不安で胸が痛くなりそうになったが、よく考えれば普通にコップを地面に落としたからだとわかる。

「はい。大丈夫です」

力哉がそういうと、もくずさんはすぐに紙コップを捨てる、そして新しい紙コップを力哉に渡した

「ありがとうございます。もくずさんもジュース取りにきたんですか?」

「そう。少し喉が乾いたから」

もくずさんはそういい、ウーロン茶のボタンを押して紙コップに入れた。

「もくずさんすごい歌うまかったですね。本当にもくずさんが出来ないことなんてないですね」

「さっきのは点数がたまたま良かっただけだよ。私だってできないことだらけだし」

「大体できるじゃないですか。何ができないんですか?」

「うーん⋯⋯あ、懸垂が少ししかできない」

もくずさんんは5秒くらい考えて懸垂を捻り出した。逆にそれくらいしかできないことがないのか⋯⋯

力哉は一回すらできないので、苦笑いを浮かべるしかない。

「やっぱりもくずさんすごいですね⋯」

「力哉もかなりすごいよ。お酒強かったり優しかったり」

「お酒強いと優しいだけですか」

力哉が笑いながらそういうと、もくずさんも笑いながら「優しいのはすごいことだよ」ともくずさんも笑って返した。


 

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