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「くっ⋯さすがもくずさん。まぁもくずさんと戦う気は無い。私の敵は元から力だ!」
瞳はすぐに気持ちを切り替え、力哉を指さす。もくずさんがそれとなくマイクを力哉に手渡した。受け取った力哉の顔は分かりやすく引きつっている。もくずさんは不思議そうに力哉を見たが、なぜ顔が引きつっていたのかはすぐに分かった。
今までの瞳ともくずさんの時と比べ、色が全くない点数発表は53点を映していた
瞳は瞳をキラン!と輝かせ、力哉はちらっと点数を見終わると無言で「次へ」ボタンを連打し、もくずさんは口を少し開けたまま
「あ、力哉⋯歌うの苦手なんだね⋯」
と無理やり言葉を捻り出した。
「そう!力は歌がめっっっっっちゃ下手なんだよ。適当に歌うたったら通りすがりの子供からスマホ向けられて撮影されたレベル。あーやっぱり力とのカラオケ最高や!」
瞳はここ数か月で一番の笑みを見せる。
「もう俺今日いいかな⋯。あとは聞く専になる⋯」
力哉の声は、カラオケの背景音声にかきけされそうなほど、弱かった。
「もーそんな恥ずかしがんなってー。力が歌下手なのは昔から知ってるから、もう何も感じないよ」
「今もくずさんに負けた悔しさを、俺の低い点数見ることで晴らしてただろ⋯」
「まぁそれはそう」
力哉は「否定してくれ⋯」と心の底からツッコんだ。だが、音痴なのを三人、特にもくずさんに見られたのが、恥ずかしすぎてもう何も言いたくない。
「今度杏奈の番だからやっていいよ」
それだけ言って、力哉はドリンクバーでジュースを取りに部屋を出た。正直部屋を出たいだけだった




