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「襲来?」
「そうでやす、そうでやす」
瞳の家に来る前の公園で、暴力やカツアゲなどとくらげは言っていたので、どうにも不穏な想像が働いてしまう
「もくずさんとひとでさんがべろべろに酔った状態でやってきて、鍵しめてたんでやすけど「開けなかったら扉壊れちゃうかもよーー」ってひとでさんが言って仕方なく開けたら、二人の住処まで連行されてそのあと鍋食べることになって⋯⋯」
「連行じゃないよ。「まだ夜ご飯食べてない」って言ってたからみんなでご飯食べようってなって手をつないでアパートに戻ったんだよ」
思い出してか震えるくらげの横でもくずさんがくらげの肩にそっと手を置きながら説明をつけたす。
くらげは瞳を指さして「ちょうどあれぐらい酔ってたでやす⋯⋯本当にあの時の恐怖は今でもトップ3にはいるレベルでやす」
「くらげがだいぶ過剰に言ってるだけだから、全然平和的な奴だったよ」
もくずさんは力哉に説得させるかのように言うので力哉も押され気味に「もちろん、わかってますよ」と苦笑いで返す。何とも言い難い微妙な空気を破ったのは瞳の悲鳴だった
「ギャー!杏奈ちゃんが倒れた!」
さっきの紫陽花とは比べ物にならないほど青くなった瞳に激しく体を揺らされている杏奈は目をぐるぐると渦をまかせて仰向けで倒れている。今にも泡を吹きだしそうな杏奈は「ウェーイOYABUNN。僕まだ全然よってらいれふよ」なぜかパリピ口調だ
「ヒャー!杏奈ちゃんが喋った!」
「いや杏奈は喋るだろ」
「二人とも結構酔ってるみたいだからこれ以上お酒飲んだらだめだよ」
もくずがやや強めな口調をで瞳に向かって言うと、瞳はパッと体をもくずさんの方へ振り向ける。
なぜか拳をぎゅっと固く握り、もくずさんへ近づいて
「他の人が私の体分かる訳無いよ!!私が大丈夫だから大丈夫だもん!!私はまだ飲め⋯」
半ば激昂しもくずさんへ怒号する。もくずさんは静かに瞳の首に手刀を打ち付けた
衝撃を浴びた瞳は目を閉じ、だらんと自然に体が倒れる。もくずさんはそっと受け止めた
「始めての時は自分の飲める量がわからないから変になる人も多いんだよね。多分瞳は酒癖が悪いほうみたいだ」
瞳の頭をよしよしなでて、もくずさんは瞳をソファの上へ寝かし付近に吐いても大丈夫なようにバケツを置いておいた。
「杏奈も心配ならこれやっておこうか?」
もくずさんは優しい口調で杏奈に語りかける。杏奈は体を震わせながら「ぼ、僕はまだ大丈夫です⋯⋯それよりくらげの方がまずいと思います」
杏奈は頭を床にこすりつけ今にも下の階まで穴が開きそうな土下座をしながら、指だけはくらげを指す。
指をさされたくらげはすぐさまワインをボトルに口をつけ一気で残りの半分を全て飲み干した
「か、かかってくるでやす。おいらはま、負けないでやすよ。刺し違えても絶対相打ちまでにもってくでやす」
空になったエメラルドに輝くワイン瓶をバットのように構えてくらげは抵抗の姿勢を見せる
「確かに公園の時から意味が分からない話したり「襲来」とかよくわからない話してたから、くらげもだいぶ酔ってるのかも」
もくずさんは指を鳴らしながら近づいていく
「みんなー!そういえば冷蔵庫の中にチーズケーキあるわよー」
衝突が起こる寸前、瞳のお母さんが部屋から出てきた。瓶を構えていたくらげはひっそりと構えを解き、もくずさんもくらげから少し離れる。瞳のお母さんはみんなの顔をさらっと見て
「あらやだ。みんなで楽しんでたみたいなのに邪魔しちゃってごめんなさんね。冷蔵庫のチーズケーキはみんなで仲良く食べるのよー。あとお酒は端の棚の中にまだまだあるから楽しんでね」
瞳のお母さんは叱るでも注意でもなくさらなる酒の場所を教えだけしてまた部屋に戻った。
シラフに冷めた空気で、酒を飲んだくらげ、杏奈はもちろん眠っていた瞳まで目を覚ました




