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「じゃーん今日から冬服可愛いでしょ」
連休が明ける、眠い目を擦りクラスに入った途端、いつでも元気そうなのが現れ子供っぽく冬服を自慢する。昨日だいぶ遅くまでためていたアニメを見ていたので「そうだね」と見もせず机に突っ伏した。がだいぶ冬服がお気に入りなのか、瞳は力哉の体を揺らしてみさせようとしてくる。多分見るまで終わることは無いのでほんの少しだけ顔を上げて瞳を見て「似合ってるね」そう言って雑に終わらせる
「てか力元気なくない?来週もしかしたら雪降るかもしれないんだよ?」
「それ多分少し降ってすぐ消えるやつだよ」
「でもいいじゃーん。みんなで雪合戦しようよ」
耳を澄ませていたのか「みんな」という言葉に、久しぶりに細い眼鏡男がやってくる。
「姫みんなってのはおいらもでやすか?」
「ん?なわけねぇだろ。ってことでさーみんなで私の家でその日お泊りかいしよーよ。昔よくしてたじゃん」
物心つく前から高校が分かれる前まで力哉はちょくちょく瞳の家で止まってゲームをしていた。
あの頃はずっといたから何も意識していなかったけど、約一年間人と会わなくなって冷静になると男女が二人でお泊り会というのは幼馴染とはいえどうかしていた。今回はみんなでと言っているが力哉に瞳、杏奈、もくずさんだと、傍から見れば男一人が女さんにんを侍らせているハーレムに見えても仕方がない。
できるだけ変な噂は流してくないので力哉はそれとなく言い訳を述べる
「いいけど、もくずさんとか杏奈とか全員が行けるかわからないからなぁ」
「杏奈ちゃんはOKって言ってたよ。もくずさんは」
瞳は顔を横に向ける。視線の扉から、ちょうどもくずさんが入ってきていた
「大丈夫だよ。あとおはよ」
開口一番そう言った
「さっすがもくずさん。てか耳よすぎじゃない?」
「おいらも連れてってほしいでやす」
「ん?黙ろ?」
「そんなこと言わずにー姫ー」
「もくずさんくらげお願いします」
机に鞄を置いたもくずさんは瞳が頭を下げてそういうと無言でくらげの首を腕でしめながら廊下に出て行った。すぐに悲鳴が聞こえたのは言うまでもない
くらげのことは置いておいて⋯きっとこれはもう避けられないのだろう。
めんどくささとうれしさが混ざり合った変な気持ちのため息がでた
そんなこんなで約一年ぶりの瞳の家のお泊りが決まった。一週間は瞬きするほど早く消えついに今日がその日。前まではお互い富山に住んでいたので、力哉が瞳の家に行くだけで済んだが、俺含め瞳以外全員が石川にいるので、石川組が星山高校近くの公園に集まって瞳の母が来るまで迎えに来ることになった
同じアパートに住んでいる俺ともくずさんは二人で集まってから行こうと昨日決めたとこだ
当日の朝、外は昨日とは比べ物にならないほど冷えていた。
冬特有のしんみりとした匂いがする
「んー」
まだ予定時間よりだいぶ早い時間。いつもの生活リズムでもくずさんが体を伸ばす。隣には騒がしくいびきをかく姉がいる
もくずさんは足の辺りに転がった湯たんぽを手に取った。姉は今日の仕事は昼からだと言っていたので、多分この後も寝ていると思い少しでもあったかくしようとキッチンに向かう。鍋に水を注ぎコンロを回した。カチチチチチチチと長くなり火が付く。灰皿の隣に置いてあった煙草の箱から一本煙草を取り出し、コンロで日をつけた。
煙草を吸い終わる前に湯が沸いたので、お湯を湯たんぽにそそぐと、煙草の灰を落とし口にくわえたまま、湯たんぽを運んだ。入れたばかっかりなので万が一姉が振れてしまったらやけどするかもしれないので、姉から少し離れた足元らへんにそっと入れる。灰がたまってきたので灰皿を取りに行こうとすると、姉に抱き着かれた
「んん、もくずーどこいくの⋯」
「灰皿取ってくるだけだから」
「やだー」
姉の抱きしめる力が強い。昨日酔って帰ってきていたので今日は甘えがつよい
離れられそうにないので、口から煙草を取り、手を伸ばしてちゃぶ台の灰皿に投げた
綺麗に真ん中に入り金属の可愛い音が鳴った
「もくず⋯ハグ」
姉は掴んでいた手を話し。もくずに手を広げる。
そっとつつみこんだ
「んーもくず大好き」
「私も好きだよ」
姉はハグをしながら頭をなでられるとうれしそうな顔をするので、そっと頭をなでる。姉の顔が柔らかく溶けるように弛緩した
「もくずほっぺにキスして」
いつもは姉がもくずさんにキスするので、内心少し驚きながらも、そっと姉の頬に口をつける。頬は冷たく少しお酒の味がした
「もくず」
姉が微かに目を開けながらもくずさんを見る。そしてそのまま近づき、冷えた鼻をすりすり擦りあった
「今日富山寒くなるからあったかい皮ジャン着てってね」
「お姉ちゃんも温かくしないとだめだよ。バイト代あるからそれで」
喋る途中で姉は首を横に振る
「私はもくずが無事にいてくれたら暖かいからそれでいい」
「もうそんなこと言って。風邪ひいてからじゃ遅くなるよ」
「じゃあ風邪ひかないように温めて」
もくずは全身で姉をつつみこんだ
「おはよ」
「おはようございます」
既に部屋の電気はすべて消して待機していたので、そのまま力哉は玄関を出た。
「皮じゃん似合ってますね」
「ありがと。中学校の冬の時おねえちゃんが買ってくれたの」
「昔から身長でかかったんですか?」
「小学校の時から大きかったけど伸びだしたのは中学からかな。力哉も大きいほうだよね?」
「ほんのり高いくらいでほとんど平均ですけどね」
雪はまだ降ってきていないが、降れるだけの温度なので話すたびに口から白い息が出てくる
「けどなんか力哉は身長高いイメージないね」
「そうなんですよね。なんか小さいイメージ持たれているみたいで。前瞳にちびって言われたことありますからね」
力哉よりかなり小さい瞳は身長通り、振る舞いのせいか小さいイメージがこべりついている、何が何でも小さくあって欲しいほどに。
「そういえばそろそろテストですね」
「ね。勉強大丈夫なの?」
「ちょっとやばいかもです」
最近力哉は文化祭の疲労でまともに勉強ができておらず、見たいアニメもたまっているので小テストでひどい点数を連発していた
「今度勉強教えようか?」
「いいんですか?」
成績が毎度良いもくずさんに教えてもらえるなら、それは願ってもないチャンスだ
「今回の範囲難しいからね。私も集中できないときあるし誰かと一緒にやりたいと思ってたから」
「本当に助かります。日本史で良かったら俺も教えれますよ」
「んー日本史は教科書覚えるだけでいいから大丈夫かも」
得意教科である日本史をとそう言ったが、言われれば社会科は暗記分野なので教えれることも少ない。
しょんぼりする力哉を、もくずさんは
「まぁけど、せっかくなら力哉に教えてもらおうかな」
フォローでそういうと
「任せてください」力哉は嬉しそうな顔でそう言った




