朝ごはん65
「んー」
体が誰かに強く抱きしめられる感触がする。それは次第に強くなり、次に頬が何かにこすられた。そこで力哉は目覚める。目と鼻の先で姉が眠っていた。そしてよく見ると布団のしたで、姉は下着しかはいてなかった
⋯え、⋯⋯やってしまった?
訳が分からず困惑する力哉の体を姉が再び強く抱きしめる。そして近づき頬と頬を合わせすりすりした
「おねえちゃん。力哉驚いてるから。そっち私じゃないよ」
声がするところを見るともくずさんが台どころで何か料理をしているのが見える。そう思えばいい匂いがしてきた。
「んー?」
姉微かに目を開ける。目と目が三秒ほど合い
「んん。ほんとだぁー」
弱弱しくそう言って再び力哉を強く抱きしめた。昨日よりさらに温度がぐっと下がった部屋で、姉の体をアルコールのおかげか暖かい。振りほどくこともできず戸惑う力哉。もくずさんはため息をつきながら火を止めて姉の横に寝転がり後ろから姉を抱きしめ、力哉から引きはがした
「はいお姉ちゃん私だよ」
「んー好きー」
ころっと相手を変えて姉はもくずさんに抱きつく。いつもはもっと大人びた感じなのに朝が弱い人なのだろうか。
「ごめんね。多分寝ぼけてて私と間違えたんだと思う」
「いつもこんな感じなんですか?」
「朝はね。そろそろ朝ごはんできるから力哉も食べていってくれる?」
もくずさんの手料理が食べれるとなれば断る理由はない。
「はい。ありがとうございます」
「じゃあもうちょっとだけおねえちゃんの面倒お願い。抱き着いてきたりしたらすぐ呼んでね」
最後にギュッと強く抱きしめてもくずさんは、キッチンに戻る。もくずさんにハグされ満足げな顔を姉はニマニマ、まだ力の弱い目で力哉を見る。まじまじ見てくるので、目を反らすこともできず、何とか見返す。無意識的に姉のセクシーな黒の下着に目が行ってしまった。
「あ、力ちゃんおっぱい見た」
「あ、いやその、そんなことは」
否定しようと変に意識しすぎたせいで、うまくいえず詰まる。
「Hだねー力ちゃん。浮気はだめだよ」
姉は楽しそうにしながら力哉にさらに近づいて
「大きい方が好きなんだ」
姉は布団で口もとを隠しきってにやにや力哉の表情を眺る、
「まぁその嫌いではないですけど」
「ふーん。ちょっとだけ見ちゃう?」
ゆっくりと布団を下ろしていき、細く誘惑的な黒の下着に手をかけて、そっと
「お姉ちゃん。あんまり力哉からかわないで」
フライパンで何かを焼きながらもくずさんはジト目で姉を睨む。姉は悪びれもなく
「だってー力ちゃん可愛いもん」
また笑って、何事もなかったかのように目をつぶって再び睡眠を始めた
ただ一人取り残された力哉。変な起き方だったせいで、目すっきり覚めてしまった。願うならあんな刺激がつよいのはもうやめてもらいたいところだ⋯
少ししてできた料理をもくずさんがちゃぶ台に運んできた。蜜柑のようなきれいな形をした目玉焼きはウィンナーを携えている。すべて運び終えると力哉の隣で軽くいびきをかいていた姉の隣に寝転がり
「おねえちゃん。できたよ」
ぎゅっとハグをした。
「ん⋯んん」
さっきからそこまで時間がたっていない間に姉は深く眠ったのか、言葉にならない声になっている。ハグでゼロ距離になったところでしっかりつかみ、もくずさんは姉の体を起き上がらせた
「ご飯できたの?」
「そうだよ。顔洗ってきていいよ。あ、力哉も使いたかったらつかってね」
力哉に朝から顔を洗うような習慣はないが、こういわれて遠慮すると不潔な人にように思われる気がして、お言葉に甘え力哉は洗面台で顔を洗った。
小学生の時ぶりのことだっただけに変にしゃきっとして違和感がある。寝ぼけてふらふら入ってくる姉と入れ違いで戻る。もくずさんの座るちゃぶだいには白い湯気が上がるタンブラーが三つ置いてあった
「ほうじ茶飲む?」
「ありがとうございます」
ちゃぶ台に座り、口をつける。湯気のインパクトよりお茶はちょうどよく口に合うよう温度で、一口飲むと体が暖かくなった気がした




