作業㊵
最近もくずさんの出番少なかったから手が遅かった。リアル二日で500文字
ストラップというものを知った今日この頃
もくずさん、大好きです。
「じゃあ後のやつはできたら力哉の家に持ってくね」
簡単と言えど、瞳の失敗で念のためにと必要量が増えたこともあり、下校時刻15分前を知らせるチャイムが鳴るった今も段ボールには半分ほど折り紙が残っていた。
「ありがとうございます。もし俺が先に終わった、もくずさんの家に手伝いに行きますね」
いつの間にか暗くなった空に、体を伸ばし、バッグに手を伸ばす
「あ、え」
さっきまでと違う低い声がもくずさんの口からボソッと漏れた
「どうしました?」
「いや、鞄のキーホルダーがなくなってて」
鞄をあげたり、段ボールの折り紙を机に移し替え探し出す。その慌てようから、大事なものと伝わってきた力哉は
「どんな猫ですか?俺教室見てきますよ」
「いやさっきここに置いた時はあったと思うから、この部屋だと思うんだけど」
作業のため、端に寄せた机を、一つ一つずらしていくも見つからず。机の中までも探し出す。いつものクールな顔には汗が出ていた。
探す二人とは関係なしに、無慈悲に下校を呼びかけるチャイムが音をあげていく。クラスの女子も下校を始め、より一層二人を焦らせる
「もし見つからなかったら、月曜日の朝早く来て、探せばいいんじゃないですか?」
「まぁ⋯⋯そうだけど」
もくずさんの声は弱く、眉がが下がり、不安が顔に張っている。その顔に今の発言を申し訳なく思ってしまう。
「あ、これですか?」
再び段ボールを漁ると、手ごたえを感じ、すくい上げると小判に手を乗せる招き猫のキーホルダーが出てきた
「それ!」
大声を上げ、もくずさんは力哉に近づく。今の今まで縮んでいた瞳が大きく開く
「ありがとう」
「見つかって良かったです⋯⋯」
力哉に変な間を感じ、改めて自分の手を見ると、無意識に力哉の手を握っていた
「あ、ごめん」
もくずさんはすぐさま手を離す。
「いえいえ。可愛い招き猫ですね」
「これ持ってるとお金たまるらしいから」
互いにやや照れくさそうな顔で、猫をもくずさんに渡す。
「もう閉まるんで帰りましょうか」
急いで荷物をまとめる二人を、軽蔑の目で見つめるいくつかの影が、舌打ちをし、駆け足でその場をさったのを二人は知らなかった
ピンポーン
日がちょうどてっぺんから見下ろす土曜日。ある部屋の呼び鈴がなった
「こんにちわ。大洋配達です」
テレビで流れるアニメを止め、家主が腰を上げる
「ようやくきたでやすか」
待ってましたと、手をこすりながらくらげは玄関へ向かう。何を隠そう今日は先日頼んだアニメのグッツ一式が我が家にやってくる時だった。アニメのオープニングを鼻歌しながら、扉を開ける。
もくずさんが立っていた
「ひゃ!もくずさん」
急いで扉を引き戻すももくずさんの足が既に挟まれていた。
「開けてくれない?痛いんだけど」
「い、いやもくずさんが足を抜いて欲しくて」
「あっそ」
扉の隙間からもくずさんの手が伸び、顔が再び現れる。その鋭い目が会い腰を抜かすとそのまま勢いよく扉は開けられた
「お金貸してくれない?」
「も、もうもくずさん達には前みたいにお金を貸さないことにしたんでやす」
震える声で言い返す
「そ、じゃあ勝手に借りてくね」
身動きがうまく取れていないくらげに構わず、靴を脱ぎ部屋へと進む。
フィギュア、缶バッチ、ポスター。様々なアニメのグッツがリビングに飾られていた
止めたアニメがたまたまハグしているシーンだったので、余計に部屋はもくずさんの目に悪く映る
「悪趣味⋯」
やたら胸のでかい少女のシールがあちこちに張られた机の引き出しをいろいろ物色していると
「待ってくれでやす。その子たちに手を出さないでくれでやす」
這いつくばりながら、なんとかくらげがリビングに顔を出す
「こんな子が好きなの?こんなに胸でかい人現実にいないよ?」
「違うんでやす。あさひちゃんはいっぱいお米を食べたから⋯」
「それアニメの設定でしょ?」
「う、うるさいでやす。もくずさんはぺちゃだから胸がデカい人のことなんか分かるはず内でやす」
「そ。こんな子に出会えるといいね。で通帳どこにあるの?」
「今回は何にお金必要なんでやすか?」
「物価高騰で一週間分くらいの食費が足り無さそうだから。3,000円くらい貸してくれない?」
「おいらはATMでないんでやすよ」
意味ありげにもくずさんは、くらげがあさひちゃんと言った女の子のフィギュアを見る。
「この子クビ細いから、何かの衝撃とかですぐにもげそうだね」
「わ、わかったでやす。3,000円⋯いや1万円あげるでやすから、あさひちゃんにだけは何もしないでおねがいやす」
「いや3000でいいよ。お金も余裕ができたら返すし」
「そ、そうでやすか」
荒くなった息で、くらげはポケットから財布を取り出し、3000円を渡す。
受け取るともくずさんは感謝の言葉を述べ、すぐに出て行った。その銀髪が家の扉を出るまで、くらげの震えは止まらなかった
家に帰ってきて折り紙を切り始めると、学校でコツをつかんだこともあり30分もたたないうちに、任された分を終えた。早く終わったし、力哉の分の手伝いでもしようかな
終わったから今から届ける
そんなことを考え、ラインを送ると、段ボールを抱え扉を開ける。
鼻を澄ませ近くの森から流れてくる秋の匂いを感じていると、力哉の家の扉を無意識に開けていた
「あ、もくずさん、これは⋯その」
扉を開けてすぐ視界に入った、小さいテレビ画面。力哉は慌て言い訳を探すも、今まで隠してきたことがばれた絶望に、うまく言葉が見つからない
「力哉⋯アニメ、好きなんだ」
テレビは一人アニメを映していた




