文化祭準備38
もくずさん好き
少し肌寒さが出てきた朝。家の扉を開け、学校に向かうと正面にもくずさんの後ろ姿が見えた
「もくずさん。おはようございます」
近づき声をかける。振り向きもくずさんも返した
「少し寒くなってきましたね」
「ね。そのせいで最近お姉ちゃんが朝全然布団から出なくて」
夜はもくずに抱き着き、起きればもくずに抱き着きで、最近体が痛くなってきている
「あ、そういえばスマホ買ったよ」
「え。そうなんですか?」
「バイトのシフト表もらうときとかに必要だったから」
ポケットからスマホを取り出し、スマホカバーもストラップも何もなく、デフォルトの待ち受け画面を見せた。
「お姉ちゃんに言われてラインだけ入れたんだけど、他の人って何するの?」
「動画見たりとか、SNSとかですかね」
「前見せてくれたやつ?」
「そういうのです。あ、良かったらライン交換しません?」
「いいよ。えっと、QRコードだよね」
アプリを開き、コードを見せると力哉のアイコンが現れる
「ラインって何話すものなの?」
「なんでもいいですよ。好きなこととか話せばよいと思いますよ」
「ふーん」と、もくずさんは画面を触り出し、文字をうつ。
「ピコン!」
力哉のスマホに通知が来て開いてみると、もくずさんから「おはよう」と一言メッセージが届いていた
力哉も「おはようございます」と送り返す。すると今度はもくずさんから「こんにちわ!」とあいさつするペンギンのスタンプが届く
「買ったんですか?」
「お姉ちゃんからもらった」
「可愛いですね」
もくずは目を鋭くさせ再びラインを開く。数秒後、力哉のラインには「我ペンギン!かわいいのだ!!」と叫ぶペンギンが送られてきた
文化祭までが日に日に近づき、陽キャグループは休み時間にも出し物の準備をするようになっていた。グループに属している瞳も子分の杏奈と共に任せられた仕事に勤しむ。
クラスの飾りつけで使うものを任された二人は、わかりやすいよう切るところを線引きされた折り紙を切る。
「親分!ハサミを使うときはもう少し気を付けた方が良いかもしれません」
やや線から外れ豪快に切り進める瞳に杏奈が声をかける
「大丈夫。私さそり座だから」
「・・・流石です親分!!」
瞳が堂々とそう答えるので杏奈の脳はキャパを超える。もしかしたら間違っているのは僕なのかも、そう思い無思考で瞳に続く
「んで、ここを切って⋯」
「あ、親分そこ切ったらそのあとに折るとき難しいかもしれません」
「ん?大丈夫大丈夫。切るのは私たちの仕事だけど、そのあとの折ったりは壁に張ったりは明美とかがやることになってるから」
気楽な顔でハサミを滑らす。「ここもっと切った方があとから折りやすいな」など口ずさみ、手を動かす瞳の横、「確かにそうですね!」と杏奈も引かれた線を大幅に、というより無視して自分の思うままハサミを進めていく。
全てきり終えるころには、他クラスとの出し物の打ち合わせが一段落ついた明美が戻ってきていた
「瞳ー終わった?」
「完璧よ!。杏奈ちゃんとやったから早く終わってなんなら、おまけでいろいろ作っといたよ」
満足げな顔な瞳は、自信作を明美に見せる。歪に形どられたそれらはところどころに本来切るべきであった線がまじり、本来の完成図とは完全に異なっている。中にはうさぎや猫の絵が描かれ、下に「瞳の」「杏奈ちゃんの」と書いた人の名前が書かれていた
「⋯⋯杏奈ちゃんもこれ手伝ってくれたんだっけ⋯」
「はい!親分と協力してがんばりました!」
引きつった顔で聞く明美に杏奈は達成感の顔で返す。それに明美はさらに顔を引きつらせる
「⋯え、えーっと、つくってくれた折り紙ちょっと出し物の雰囲気とちがうかもだから、あとからうちらでまた作り直しとくね」
「使わないの?せっかくがんばったのに」
「やっぱり適材適所ってきなやつがあって。あ、そうだそうだ。瞳と杏奈ちゃんにはメイド服のためにみんなの採寸をしてほしかったんだよね。お願いできる?」
「ならしゃーないな。バッチコーイ!」
「僕もお供します!」
まだ二人は元気が有り余ってるようで、明美の苦笑いは今までで一番引きつったものになっていた
瞳がさそり座なのは今ぱっと決めたことなので、いつか忘れて変わってるかもしれません
最近颯太朗の扱いに困ってます




