野球㉑
一日1,500文字ほどしかけません泣
寿司だはまだマイナスです
座席は出席番号順で席移動は許されていないが、それはほとんど形式だけで最初に着いた時と帰るときに確認する際その順番になっていれば何も言われない。私立学校のせいか先生方の大半がこの学校で育った方なのでこういったスポーツの試合となれば学生時代培われた愛校心がでて、そういった規則より応援に夢中になっている。四月一日先生もその一人で学校のイメージカラーの黄色のタオルを肩に携え、持参したであろうプラスチックのメガホンでエールを送っている。
「あ、やば私日焼け止め塗ってないや」
もくずさんとは反対側の力哉の隣に座っている瞳は慌てて鞄から日焼け止めを取り出し、腕、足に素早く塗り出す。
「俺にも貸してくれないか?ちょっと日差しが痛くて」
「いいよ、あ、ちがう」
頷いた頭を無理やり横に首を振る。そして
「だが断る」
影が濃く輪郭をごつごつさせそういった
「昨日アニメ見てたらこれで来たんだよね。ビックリしたでしょ。はい」
頬を膨らませ満足げに日焼け止めを力哉に渡す。よくわからないが気が済んだらしい。そのネタは今どきわからない人もいると思うが⋯
「あと十五分くらいで始まるみたいだよ」
「じゃ今のうちにトイレすましてきます」
もくずさんに言われ、そこまで尿意はないけど試合のいいとこでトイレに行きたくなるのだけは避けたいので、席を立つ。建物のうちに入るとトイレはすぐに見つかった
「あ。颯太朗」
トイレから出てきた男と目が会うなり、自然と口から言葉が出た
「お前遠足来なかったのか?」
「きいてくれよ。楽しみにして前日8時に寝たのに、次の日風邪ひいちまったんだよ」
がっくり肩を落とし、力哉にのしかかる。
集合するとは言ってなかったもののなんやかんやでこいつも一緒に回るもんかと思っていたが、どうりで見なかったわけだ。まぁ来たらもくずさんとくらげと瞳、全員があれほど楽しめなかったと思うが
「んで、配られた遠足の振り返りは強制されるし。カスだよねこれ、かすかす」
「俺のできたら見せてやろうか?」
「いやぁお前のはどうせ女といちゃつきました、とかだろ?。」
だいぶひどい誤解だ。と言い返したいがくらげはほとんどじゃべっていなかったので冷静にみたらそう感じさせてしまうかもしれない。
「いや、まあ。金沢城を見るのは面白ったぞ」
自分でもうまく返せていないのが口からでて、すぐに分かった。
けど相手が相手。颯太朗は
「うわー俺も行きたかったー」
嘆きを強め、さらに大きくもたれかかった
「お、恋愛中邪魔して悪いがうちの高校の生徒だね」
颯太朗の頭を横にたおすと、目の前に女性がたっていた
180ほどありそうな体に眼鏡をかけ、髪を短く結んでいる
「私の名前は春夏冬。そろそろ試合が始まるから単刀直入に聞くけどっちが勝つと思う?」
腕まくりのスーツを着ているので、教員のアンケートかと思い、率直に
「やっぱり自分の高校に勝ってほしいです」
そう聞くと彼女はポケットからメモ帳を取り出し、力哉に名前を尋ねる。素直に答えると
「力哉ね。おけ。参加費は800円で勝てば掛け金の1.5倍が帰ってくるから。いくらかける?」
春夏冬と名乗った女性は鉛筆を止め力哉を見る
「え、そういうやつですか?俺そういうのはやらないんで」
「いやいやそういわず、君の彼氏も相手高校に2,000円かけてるから君のやってみなよ」
彼氏と言われ、えずきそうになるも、それより颯太朗が既に賭けているということのに驚いた
「お前、金かけたのか?」
「勝って遠足の恨みを晴らそうと思って」
恨みを高校の野球部だけにぶつけるのはだいぶかわいそうだが⋯というより大体が三年生なので、俺たちの遠足とは関係ないし、もし恨むとしても自分を苦しめた病原菌を恨むべきではないのか
「まあまぁそういわずに。試合は始まるまで、回戦の勝ち負けは二回前の回までだから三回目から始まるから。得点までドンピシャだったら2,5倍に膨らむから」
「そうだぞ力哉。当たれば激熱なんだぞ。1000円だけかけてみろよ」
正直財布にお金はないことは無い。いや今までで一番札は入っている。けどそれは最近はまっているアニメの単行本を全部大人買いしようと、ためたやつなので使うわけにはいかない。
「まあ君なんか当てそうだしやっぱりいいや。じゃあ当たったら自己申告制だから颯太朗は当たったら来いよー。申告忘れの場合は保証しませんので。じゃ」
そう言って春夏冬は去っていく。勝手に断られよくわからないまま残された力哉を颯太朗は楽しそうに見ていた。もう当てた気でいるんだろう
トイレに行って帰ってくるだけの一瞬なのに、気温がだいぶ上がったかのように感じる。中がやや涼しかったからだろうか。日差しを掌で防ぎつつ席に着く。いつの間にか二人がいなくなっていた
二人もトイレかな⋯瞳がもくずさんに日焼け止めを塗ってもらっているところも想像できる
サイレント共に選手が入場する。手、足が格式高い軍隊のように揃えられ土の音を響かす。それを高めるよう、一緒して闘うよう、快活な音色は聞こえてきた。おむずびのように肥えた吹奏楽顧問が、指揮をとり、高校を示す。猛獣の咆哮のように勇ましく轟き会場に熱を送り込んだ
主将の礼に続き、部員一同頭を下げる。まもなく、試合が始まる
胸が震えていたとき、ふさふさと、何かがこすれる音が聞こえた
それはどんどん大きくなっていく。ついにまとなりにから聞こえ見てみると、明るく爽やかな黄色に包まれたチアガールが踊っていた。が、その顔をみるやいなや無意識に、笑ってしまう
彼女はぷんすか頬を膨らませながらも踊りを続ける
「何してんだ?」
「人出不足でやらされてんだよ、力もやれよ」
瞳は奥歯を噛み、作り笑顔こっちを向いている
「もくずさんはどこ行ったんだ?」
「今来るよ」
演奏が二番目になり、盛り上がる。そして新たにチアガールが踊りながら現れた
前の陽キャグループは来てません。休んでます。みんなでユニバにでも行っているんでしょう




