表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫軍師ナツカゲ  作者: カナタミライ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/5

3章 水攻め

翌日、ナツカゲは高松城下に入った。そこは猫一匹だ。誰も気に止めない。


「嫌な風だねえ。近いうちに雨が降るぞ。」


村人たちの声を背に、ナツカゲは城に近づいた。なるほど、城兵たちが城の周りをぐるりと取り囲んでいる。入り込めそうな隙間はどこにもない。おまけに、城の周りはぬかるんでいる。この城は三方を川に囲まれた湿地に建っているのだ。秀吉は、信長の救援を請う前に一度、正面からこの城を攻めたが、兵がぬかるみに足を取られ、大敗したという。ならば背後は?ナツカゲは城の裏手に回ってみたが、そこには沼があった。高松城は、四方を川と沼という自然の要塞に守られていたのだ。まさに守るに安く、攻めるに難し、だ。


(一体、どうすればよいのだ)


ナツカゲは、兵法書の内容を頭にめぐらせてみた。しかし、よき案は見つからない。こんな地形に建つ城など、書物に出てきた記憶がない。結局ナツカゲは、見てきたままを報告するほかなかった。


「そうか。やはりな。」


官兵衛がうなずく。ろうそくの灯に、官兵衛の穏やかな顔が浮かび上がる。


「どういたしましょう。近々雨が降ると申している者もおりました。野営のこちら側にとって、雨は大敵。士気が落ちるやもしれません。」


そう、ナツカゲが言った時だった。


「雨?川・・・沼・・・水か。それだ!。」


信長以上に野太い声に、ナツカゲはびっくりして官兵衛を見つめた。官兵衛の顔からは、先程までの穏やかさが消え、その目は突き刺さるような暗い光をたたえている。この目は信長様の・・・いや、それ以上に鋭い目だ。


「いかがなさいました?」


おそるおそるナツカゲが聞いた時には、官兵衛は既に席を立っていた。




「水攻め?」


秀吉が官兵衛に問う。


「はい。城の周りに土手を築き、川の水を城に向けて流すのです。ナツカゲ殿の報告によると、近々雨が降るとのこと。増水すれば、城は一気に水につかるでしょう。」


ナツカゲは驚いた。水攻めと言えば、古来、籠城している敵の城の、井戸に通じる水の手を切ることだ。ところが、官兵衛の策は、城を水没させようというのである。官兵衛の奇想天外な発想に、ナツカゲは脱帽するしかなかった。


「そのような方法は聞いたことがない。」


秀吉も茫然としている。しかし、今はそれが最善の策であろう。


「よし、諸将に命じて、急ぎ工事に取り掛かろう。官兵衛、ナツカゲ、頼むぞ。」


「はっ。」


前代未聞の策略が実行にうつされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ