第63話:性別判明! シスコンお兄ちゃんの誕生と、こだわり開発
レオが「最高のお兄ちゃん」になると宣言してから、約半年が経った。
私のお腹もずいぶんと大きく丸みを帯びてきて、王宮の毎日は穏やかで幸せな時間に満ちていた。
「ママ、今日も体調は万全? ほら、僕が毎日お腹に優しく触れて『至高の癒やし魔法』を送っているからね。赤ちゃんもきっと心地よくて、僕の才能に感謝しているはずだよ」
現在3歳半になったレオは、毎朝欠かさず私の膝元にやってきては、私のお腹にちっちゃなおててを当てて、綺麗な光の魔法を注いでくれるのが日課になっていた。かつての嫉妬や不安はどこへやら、今では誰よりも赤ちゃんを気遣う頼もしいお兄ちゃんだ。
「ありがとう、レオ。あなたのおかげで、今日もとっても体が軽いわ。……そうだ、ちょうど今日で妊娠8ヶ月目に入るし、そろそろ魔法鑑定で赤ちゃんの性別がはっきり分かる頃よ」
私がポケットからスマホを取り出し、お腹の赤ちゃんの生体魔力波形を詳細にスキャンする。隣に座っていたギルバートも、ゴクリと息を呑んで画面を見つめた。
【――生体魔力スキャン完了:第二子の性別は『女の子』です。魔力属性:聖光および空間操作(お兄ちゃんとの高い同調性を検知)――】
「女の子……! ユキ、妹だ。レオに、可愛い妹ができるぞ……!」
ギルバートがアメジストの瞳をパァッと輝かせ、私を壊れ物のように優しく抱きしめる。
「まぁまぁお姉様! 妹君ですのね!? 帝国の最新ファッションから、最高級のドレスの仕様まで、今から私が全て手配いたしますわ!」
エレノアが自分のことのように大興奮して飛び跳ねる中、レオはしばらくお腹をじっと見つめていたが、やがてふっと、これまでで一番誇らしげなドヤ顔をキメた。
「……やっぱりね。僕という世界一美しくて完璧なお兄ちゃんがいるんだから、生まれてくるのも世界一可愛い妹に決まっているよ。ああ、僕たちきょうだいが並んだら、眩しすぎて世界の鏡が全部割れちゃうかもしれないね!」
「ハハハ! その通りだなレオ! 間違いなく世界一美しい兄妹になる!」
「(……はいはい、親バカとナルシストが2人に増えたわね……)」
私が呆れつつも幸せな溜息をついていると、レオはちっちゃな腕を組んで、真剣な顔で考え込み始めた。
「ねえ、ママ。妹が生まれたら、すぐに言葉や魔法のお勉強が必要だよね? 僕が3歳の時よりもっと早く、完璧に成長できるように、僕が『特別な知育おもちゃ』を作ってあげたいんだ!」
「レオが、自分でおもちゃを?」
「うん! 前にハンスっていう職人のおじさんが作ってくれたカードを参考にして、僕の空間魔法を込めた、妹専用の『光るどうぶつ合わせカード(ひらがな版)』を開発するよ!」
3歳児にして、まさかの「妹のための知育玩具の自主開発」を宣言するレオ。
『ふん、主よ。レオのやつ、完全にシスコンのスイッチが入ったな。まあ、我の毛並みを模したデザインのカードでも作らせるか』
ランがソファの上でフンスと鼻を鳴らす。
「よし、レオ。その意気よ。さっそくハンスさんの工房に魔法通信を繋いで、お兄ちゃん特製の新作おもちゃの仕様を打ち合わせしましょう!」
「イエス、マイ・マザー! 待っていてね、僕の可愛い妹。お兄ちゃんが、世界一完璧なプレゼントを用意してあげるからね!」
お腹の赤ちゃんに向かって、優しく、そして最高にカッコよくポーズを取るレオ。
こうして、まだ見ぬ妹への溢れんばかりの愛を原動力に、天才幼児レオによる「シスコンお兄ちゃんのこだわり開発プロジェクト」が、賑やかに幕を開けるのだった。




