面白い情報
…そして1時間後。
あずさと未来は食事をしてからお風呂を済ませて着替えも終えたようね。
そのあとで必要な荷物もまとめたことで全員の準備が整ったみたい。
「心残りはないわね?」
「いつでも良いわよ!」
最終確認を行ったことで、
乃絵瑠が代表して答えてくれたのよ。
忘れ物はないみたいね。
もちろん悔いもないわ。
ここでやるべきことは全て終えたから。
「準備は整ってるわ。」
乃絵瑠の言葉を聞いて頷く。
「それじゃあ、行きましょうか。」
私達の力を示すために控室を出ることにしたの。
…さあ、ここからが本番よ。
暗黒迷宮に背中を向けて地上に向かって歩き出す。
ウィッチクイーンを叩き潰すために、
地上へと続く階段を上って外を目指そうとしたんだけど。
階段を上り終えた先で一人の人物が私達を待ってくれていたのよ。
「ふふっ。ご苦労さまです。」
優しい笑顔で出迎えてくれた女性の名前は川島郁恵。
カリーナ魔術研究所の所長であり、
桜井学園長の母でもあるわ。
「どうやら無事に迷宮を乗り越えたようですね。」
「ええ、迷宮を制覇しました。」
「素晴らしい成長です。由美の期待通り、しっかりと成長してくれたようで何よりですよ。」
学生として初めて暗黒迷宮を攻略した私に続いて、
闇魔術を極める奈々香が暗黒迷宮を攻略し、
最後に攻略不可能と考えられていた乃絵瑠が最短時間で攻略したの。
そんな私達の成長を確認するためかどうか知らないけれど。
わざわざ見送りに来てくれたようね。
「いよいよ出発するのね?」
「はい。そのつもりです。」
「ふふっ。それでは最新の情報を教えてあげるわ。」
迷わずに即答したことで川島所長は桜井学園長からの伝言を伝えてくれたのよ。
「現在、共和国軍と『もう一つ部隊』がカルナック山脈の東部で部隊を展開しているらしいわ。そこにはミッドガルム軍が押し寄せていて、今は互いに牽制を行っている状況のようね。そして、そこにあなた達が捜し求めている人物がいるそうよ。」
私達が捜している人物?
…へえ。
それは面白い情報ね。
「つまり、ウィッチクイーンがいるという意味でしょうか?」
「ええ、そうよ。今は協力者として共和国軍に手を貸してくれているらしいわ。まあ、その辺りの理由や詳細に関しては直接本人に会って話を聞いたほうが早いかもしれないわね。」
…そう。
それならこれ以上聞くことは何もないわ。
「ひとまず北の国境へ向かいなさい。そこで全てが明らかになるはずですよ。」
ウイッチクイーンの正体も。
共和国との関係も全てが明らかになるのね。
「ああ、そうそう。もしも由美に出会ったら『頑張りなさい』とだけ伝えてもらえるかしら?」
…母としての愛かしら?
たった一言の言葉に想いを込めた川島所長は私達に道を譲ってくれたわ。
「戦場を生き残ることはとても難しいですけれど、諦めずに頑張りなさい。生き続けた先にはきっと…望むべき未来があるはずですよ。」
私達の生存を願い、
その先にある未来を願いながら優しく微笑んでくれたのよ。
「お行きなさい。自分達の存在を示すために。そして心に抱える想いを貫くために。旅立ちなさい。」
「はい。」
川島所長に見送られながら歩き出す。
戦場へ向かうために。
そこにいるはずの人物と再会するために。
「行ってきます。」
「お世話になりました〜!」
「………。」
「ありがとうですぅ♪」
「ありがとうございました。」
それぞれに感謝の言葉を伝えてから、
研究所をあとにしたの。




