シェリルが一番
………。
少女が離れてしまったあとでも僕の視線は釘付けになっていた。
…って!?
しまった!?
…名前を聞いてなかった!!
少女は僕の名前を知っていたけれど。
僕は少女の名前を聞き忘れていたんだ。
…うわぁー。
もったいないことをしたかな?
どれほど望んでも手の届かない存在とは言え、
名前くらいは知りたかったと思う。
…だけど。
これはこれで良かったのかもしれないとも思ってしまう。
…僕はシェリルが好きだから。
他の女性に興味を持つ必要なんてないんだ。
少なくともそうでないといけないと思っている。
…僕は僕の想いを曲げないよ。
そうあるべきだと思うんだ。
だから僕はシェリルが好きだと想いながらシェリルの横顔を眺めてみた。
…うぅー。
どこまでも加速する心臓の鼓動を感じながら、
シェリルの真剣な横顔を見つめ続けてみる。
…やっぱりシェリルが一番だな。
僕にとっての最愛はシェリルだ。
…だからいつかは、この想いを。
好きだと言葉で伝えたいと願う僕に、
視線を感じた様子のシェリルが再び冷たい視線を向けてきた。
「何よ?言いたいことがあるならはっきりと言いなさいよ?」
…うっ。
疑問を感じる様子のシェリルだけど。
今この状況で言える勇気はまだ僕にはなかった。
「い、いや…。何でもないんだ…。」
ドキドキと緊張しながら言葉を紡ぐ。
そんな僕の挙動を不審に思いながらも、
シェリルは視線を外してくれていた。
「…落ち着きがないわね〜。」
…うぁっ!?
さりげなく呟いたシェリルの言葉が再び僕の心をえぐるけれど。
それでも僕は少しだけ喜びを感じてしまう。
…こうしてシェリルの傍にいられるんだ。
だから生きていて良かったのかもしれない。
もしもあのまま死んでいたら今ここでこうして怒られることもなかったんだ。
だから今ここでシェリルの傍にいることが出来るだけで十分に思える。
好きだと思えるシェリルの傍にいられるだけで満足だから。
この想いはシェリルには伝わらないけれど。
それでも僕は満足していた。
…今はまだこのままで良いよね。
無理に焦らずに、
大人しく軍議に耳を傾けることにしたんだ。




