↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月25日
PR
2309/2361

怒った顔でさえも

《サイド:澤木京一》



…うーん。



何がどうなっているんだろうか?



目が覚めたのは良いんだけど。


僕を取り巻く環境は一変していた。



「ったく~!!一体どれだけ周りに迷惑をかけたら気が済むのよっ!」



目覚めたばかりの僕をシェリルが全力で怒鳴り付けているんだ。



…これって夢じゃないよね?



怒られるのはどうかと思うけれど。


それでもこうしてシェリルと再会できたんだ。


ただそれだけのことがすごく嬉しく思える。



…やっぱり、素敵だな。



怒った顔も素敵だと思えるんだ。


ちょっと前までなら怯えて戸惑っていたんだけど。


今では何ていうのかな?



怒った顔でさえも可愛く見えてしまうんだ。



…きっと桐島さんもこんな気持ちなのかな?



シェリルをからかいたくなる桐島さんの気持ちが何となくだけど理解できるような気がした。



…まあ、シェリルには言えないけどね。



言えば余計に怒られるだろうから、

とりあえずは苦笑いを浮かべながら謝っておく。



「えっと…。ごめん、シェリル。」


「はあ!?ごめんで済まされることじゃないのよ!?そこをちゃんと分かってるの!?」



…さあ?



どうなのかな?



分かってるような気もするし、

分かってないような気もするというのが素直な気持ちだと思う。



「…でも、謝ることしか出来ないから。」


「…はぁ。あんたはもう~っ!」



復帰したばかりの僕を全力で怒鳴るシェリルだけど。



「まあまあ、シェリル。」



僕達の様子を見ていた倉嶋絵里香さんが優しくなだめてくれていた。



「そんなに怒ったら可哀相ですわ。もう少し澤木様に優しく接してあげてくださいませ。」


「はあ!?無理に決まってるでしょ!!この馬鹿にははっきりと注意して自覚させないと、一生分からないに決まってるわ!!」



…いやいや。



馬鹿って。



…いや、確かにそうかもしれないけれど。



こうも目の前ではっきり言われてしまうと、

ただただ落ち込んで泣きたくなってしまうね。



…はあ。



倉嶋絵里香さんの忠告をばっさりと拒絶して僕を睨みつけてくるシェリルだけど。


怒った表情も可愛く思えるせいで自然と笑顔を向けてしまっていた。



…やっぱりシェリルは可愛いな。



久し振りに目にするシェリルは数日前よりもずっとずっと素敵な女性に見えたんだ。



…シェリルが無事で良かったよ。



ただそれだけのことに喜びを感じる僕に、

シェリルは冷たい視線を向けてくる。



「ったく!何を笑ってるのよ!?今、自分がどういう立場か分かってるのっ!?」



…えーっと。



どうなんだろう?



…僕の立場って何なのかな?



「絶対に分かってないでしょ!!」



…どうやらバレてるね。



「散々周りに心配させておきながら反省が足りないって言ってるのよ!!」



…ああ、なるほど。



僕が笑顔を浮かべていられる理由がシェリルには理解出来なかったようだ。



「真剣に人の話を聞いてるの!?」


「あ、ああ。」



…ちゃんと聞いてはいるよ。



聞き流してるとも言えるけどね。



「ったく~!!」



何度も何度も怒鳴るシェリルだけど。



…ははっ。



それでも僕は微笑み続けていた。



…今ここで告白したらどう想うのかな?



まあ、恥ずかしくて言えないけどね。


だけどせっかく生きて帰れたんだから。



…言葉に出来ることは伝えてみたいとは思うかな?



なんて考えていたら、

康平が歩み寄ってきた。



「どうやら思ったよりも元気そうだな。」


「ん?あ、ああ。そうかもしれないね。」



目覚めてすぐにシェリルと再会できたんだ。



それだけで幸せを感じるんだけど。


さすがにそれを康平に言っても仕方がないからね。



とりあえずはお互いの無事を喜ぶべきだと思う。



「康平も元気そうで何よりだよ。」


「ははっ。まあ、京一に比べれば大したことはないからな。」


「そうなのか?」


「ああ、戦闘自体はそれなりだな。それよりもお前がいなくなったことで焦るシェリルや美優達をなだめるほうが大変だったぞ。」



…あぁ。


…なるほど。



首都撹乱作戦もそれなりに危険だったと思うんだけど。


康平としてはそれほどでもなかったようだ。


むしろシェリル達の暴走を止めるほうが大変だったらしい。



「一時はどうなるかと心配したが無事ならそれで良い。安心した。」


「あ…ああ、うん。ありがとう。」



微笑みを浮かべる康平を見て少しだけ罪悪感を感じてしまう。



「ごめん。本当なら康平にだけでも話をしてから行くべきだったね。」



常に僕の身を案じてくれる親友にさえも無言で立ち去ったことを謝るべきだと思ったんだ。



「心配をかけてごめん。」


「ははははっ。まあ、気にするな。」



ちゃんと頭を下げて謝ってみたことで、

康平は笑って許してくれていた。



「ひとまずこうして無事に再会出来たんだ。今はそれで十分だろう。」



…ああ、そうだね。



康平は僕を咎めようとはせずに。


一度も怒らずに僕との再会を喜んでくれたんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。