当たり前のことが
《サイド:澤木京一》
…っ?
ここは?
ここはどこなんだろうか?
…って?
あれ?
意識を取り戻してゆっくりと瞼を開いてみると急速に明るい光が映り込んできた。
…空が見える?
それと、綺麗な光が見える?
見上げる景色はどこまでも雄大な青空だった。
ついさっきまで地下牢にいたはずなのに。
何故か今は外にいるらしい。
何気に燃え上がる王城も見えているけれど。
何故か今は焼け落ちる王城が幻想的に思えた。
…僕は、生きているのか?
僕を包み込む純白の光が、
僕の心にまで優しい想いを運んでくれている。
…すごく気持ちいいな。
光や風がこんなに気持ちいいなんて知らなかった。
空から注ぐ太陽の光や時折吹く暖かな風が僕の心に安らぎを与えてくれているんだ。
…ああ、僕はまだ生きているんだね。
生きている実感。
体が動く喜び。
そんな当たり前のことがどれほど素晴らしいことなのかを生まれて初めて実感したような気がする。
…僕は生きているんだ。
すぐ傍で祈りを込めている倉嶋絵里香さんを眺めながら静かに息を吐いてみた。
…僕は生きてる。
その実感が僕の心を呼び覚ましていく。
…僕はまだ戦えるんだ。
生きている限り戦うことが出来る。
それは戦争や試合だけではなくて、
夢や希望をもって生きて行けるということだ。
…僕はまだ頑張れるんだ。
大切な仲間達と共にこれからも生きていけること。
その幸せに喜びを感じながら、
自分の力で体を起こすことにした。




