将来有望な能力者
《サイド:杞憂幻夜》
…ふむ。
外部からの攻撃が本格的になってきたな。
…複数による多重攻撃か。
激しい爆発音を響かせているのは魔術による攻撃で間違いないだろう。
この程度の攻撃であればまだまだ余裕をもって防げるのだが、
結界に僅かな亀裂が入ったことで密かに微笑みを浮かべてしまう。
…まさか俺の結界を揺さぶるとはな。
結界の突破には至らないが、
結界の一部に歪みを生み出したのは事実だ。
…思ったよりも出来る魔術師がいるようだな。
予想以上の攻撃を受けたことで、
彼の仲間が有能な人物であることは確認できた。
…将来有望な能力者がいるのだろう。
だが、まだだ。
…俺を越えるにはまだまだ早い。
結界に亀裂を入れたのが誰の攻撃かは不明だが、
それでも防御結界を突破するには至らなかった。
「残念だが、もうしばらくそこにいてもらおうか。」
外部にいる者達に俺の声は届かないが、
それでもあえて語り続ける。
「あと少しの辛抱だ。」
唯様による治療は少しずつだが進んでいる。
彼の体から流れる出血は止まり、
火傷の治療も終わりつつあるようだ。
…問題はどこまで治療できるかだな。
おそらく完治は無理だろう。
場合によっては素直に共和国に引き渡したほうが良いかもしれないが、
彼をここから運び出すにしても最低限の治療を行っておかなければ搬送することさえ難しいはず。
…砕けた骨が内臓に突き刺さりでもすれば、その時点で即死もあり得るからな。
だからこそ今ここで治療を行う必要があった。
そして現時点で彼の治療が出来るのは唯様のみ。
…どちらにしても時間は必要だ。
ひとまずは唯様の治療にならないように声をかけておくことにしよう。




