扉の向こう
《サイド:シェリル・カウアー》
…京一はどこなの!?
イーファの王城に乗り込んですぐに、
私達は地下の牢獄に突入したわ。
援軍として駆けつけてくれたアルバニアの陰陽師軍と共闘して王城を襲撃したことで、
堂々と内部に潜入できるようになったからよ。
…上はみんなに任せるとして!
ギルド長である倉嶋善治様を筆頭に、
亮平や絵里香を含めたイーファ魔術師ギルドの部隊が謁見の間の制圧を進めている間に、
私はグランバニアの生徒達を引き連れて京一の捜索を始めたの。
「さっさと京一を捜し出すわよっ!!」
捕虜になった京一が牢獄内のどこかにいるはず。
それがどこなのかはおおざっぱにしか分からないけれどね。
「方角的にこっちかしら?」
「ええ、そのはずです。魔力の波動はこの通路の先から感じられます!」
私と筑紫さんで京一の魔力の波動を探知しながら牢獄内を進んでいくと目の前に鋼鉄の扉が現れたのよ。
「この扉の向こうです!」
…そのようね。
扉の奥に意識を向けてみると、
筑紫さんの指摘通りに京一の魔力の波動が感じとれる。
「…鍵がかかってるみたいね。」
「どうするの?」
「決まってるでしょ!扉を破壊するわよ!!」
筑紫さんの質問に答えた瞬間に。
「パワークラッシュ!!!」
真っ先に動き出した盛長康平が鋼鉄の扉に攻撃を仕掛けていたわ。
激しい轟音と共に揺れる扉。
…だけど。
「馬鹿なっ!?」
破壊力だけは自信を持っていた盛長康平の一撃が鋼鉄の扉には通用しなかったのよ。
…どういうことなの?
例え扉そのものは壊せなかったとしても、
入口を開くことは出来たはず。
いくら扉が硬くても、
吹き飛ばすことは出来る威力なのよ。
…それなのに。
入口を破壊することが出来なかったわ。
「無駄に丈夫に造られているのかしら?」
「そういう問題なのか?」
…って、私に聞かれても困るけれど。
「こうなったら数で攻めるまでよっ!!!」
ルーンを発動して数十枚のカードを生み出す。
そうして扉の破壊を行うことにしたの。
「カタストロフィ!!!」
連続攻撃による強行突破。
だけど私の攻撃でさえも鋼鉄の扉には傷一つ付けることが出来なかったのよ。
…そ、そんな!?
嘘でしょっ!?
驚愕の表情を浮かべてしまう。
攻撃に特化した最大級の魔術でさえ扉を破ることが出来なかったわ。
「…ただの扉じゃないの?」
本格的に疑問を感じてしまったことで、
これまで様子を見ていた筑紫さんが私の横を通り過ぎて扉に手を伸ばしてる。
「よく分からないけれど…。何らかの結界が作用してるのかも?」
筑紫さんにも分からない何か?
そして私にも分からない何か?
だけどそれは確実に存在していて、
私達の攻撃を阻んでいるのよ。
「もしかして陰陽師の仕業とか?」
「…かもしれませんね。」
おそらくは扉の内部にいる何者かによる防御結界ということよ。
「どうする?」
「上にいる陰陽師の方々に協力してもらうのが最善だとは思いますけど…。」
…まあね。
それはそうなんだけど。
王城の制圧を放棄してまでここに来たのに、
扉が通れないからっていう理由で戻るのも情けない話よね?
「それも良いけど、目の前に京一がいるのに引き返すのは時間がもったいないわ。」
今更、諦めるわけにはいかないし。
他にも方法はあるはずよ。
「こうなったら壁を破壊するわよ!!」
扉は無理でも壁に穴を開けることは出来るはず。
「強引に突破…」
しようと考えたところで、
再び盛長康平が壁に向かって攻撃を始めたわ。
「アースクラッシャー!!!」
大地を粉砕するほどの破壊力を秘めた全力の一撃だから、
これなら壁を砕くくらいは出来るはず。
「突破口を確認次第、内部に突入するわよ!!」
鋼鉄の扉のすぐ横で炸裂した攻撃が収まると同時に突入する。
…って!?
嘘でしょ!?
絶対に壊れたと思った壁は、
何事もなかったかのように盛長康平の攻撃を防ぎ切っていたのよ。




