交渉の基本
…はあ。
冗談でしょ?
…何だか納得いかないわ。
最後の訓練から1時間が経過した頃。
私と美咲さんはギルドの入口に立っていたわ。
「ちょっぴり…悔しいです。」
「ふふっ♪」
頬を膨らませる私を美咲さんが笑顔で見送ってくれてる。
「もう少し成長すればきっと追いつけるわ♪」
………。
私を元気づけてくれる美咲さんだけど。
最後の訓練の結果は『美咲さんの圧勝』で終わってしまったのよ。
「ちゃんと力を使いこなせるようになりなさい♪そうすれば私に追いつけるわ。きっとねっ♪♪」
…う~ん。
そうかな~?
…全然、追い付ける気がしないんですけど。
「大丈夫よ♪」
…うぅ~ん。
とてもそうは思えないのよね~。
…って言うか。
「結局、美咲さんって『心が読める』んですよね?」
「ええ、そうよ。」
…あ、いや。
そうよ、じゃなくて。
「心を読むなんて出来ないって言ってましたよね?結局あれって嘘だったじゃないですか!?」
嘘は吐かないって言ってたのに。
「完全に嘘つきじゃないですか!!」
「あらあら?そんなことはないわよ?」
…へ?
「ちゃんと言ったでしょ?『心が読めれば良いとは思うけどね』ってね♪出来ないなんて一言も言ってないわよ♪」
…は?
何それ?
…言い方の問題なの?
「それって完全に詐欺ですよね!?」
「ふふっ♪そうかもしれないわね♪」
…いやいやいやいや。
「そんなにあっさりと認めないでくださいよ!」
「う~ん。そうは言われてもね~。こういうのは騙されるほうが悪いのよ?」
…うわっ。
美咲さんが以前の美咲さんに戻ってる。
「相手の思考を誘導して自分に有利に話を進める。それが交渉の基本なのよ♪」
…うわぁ。
美咲さんの言いたいことは分かるけど。
見事に騙された私としては納得したくない言い分だったわ。
「まあまあ、過ぎたことは気にしない気にしない♪」
…いやいやいやいや。
気になりますよね?
「大丈夫よ。契約はもう終わったから。これからはもう乃絵瑠ちゃんの自由よ♪」
…ま、まあ、それはそうなんだけど。
「そ・れ・に♪ちゃんと約束通り成長させてあげたんだから、何も問題はないでしょう?」
「それは…まあ、はい。」
「だったら大丈夫よ♪」
…そうなのかな?
騙された感がすごいんですけど?
「気にしない♪気にしない♪」
………。
「まあ、これで米倉美由紀を超えたのは間違いないでしょうし。自信をもって頑張ってね♪」
…あ~。
そう言えばそこも気になってたのよね~。




