お楽しみ
「まあ、今後の戦いに関してはこれから考えるとして…。それよりも気になってることがあるんだけど聞いても良いかい?」
…ん?
聞きたいこと?
「何だ?」
「ああ、いや…。何ていうか、淳弥の魔力も変質してるよね?潜在能力に覚醒したのかな?って気になっただけだよ。」
…ああ、そのことか。
新たに目覚めた力に関して気になるんだろうな。
とりあえず御堂の質問に答えようと思ったんだが。
「やっぱり御堂君もそう思うわよね!?」
俺が答えるよりも先に、
すぐ傍にいた里沙が俺達の会話に割り込んできた。
「私も気になって何度も聞いてるのに、淳弥は全然教えてくれないのよ!!」
…いや、そうは言われてもな。
仮にも諜報員が自分のことをべらべらと喋るわけがないだろ?
どこでどんな情報が流れるか分からないからな。
隠せる情報は隠しておくべきだ。
「人のことはこそこそと調べてる癖に!自分のことは秘密なんてずるいと思わない!?」
…いや、だからそれが普通だろ?
まあ、何を言っても無駄だろうけどな。
明らかな不満を口に出す里沙から怒りと殺気が俺に向けられているが、
今はまだ説明するつもりはない。
…知りたかったら自分で調べればいいんだ。
わざわざ説明する必要はないと考えている。
「新たな力に関してはまだ秘密だ。俺もまだ完璧に使いこなせるわけじゃないからな。必要な時が来るまで見せるつもりはないし、もちろん名前を教えるつもりもない。」
…と言うか。
名前を言っただけで、
大体は想像できるだろうからな。
余計な情報を与えないために雷帝という特性の名前さえも隠して、
御堂には指輪を返しておくことにした。
「今の俺にはもう必要ないからな。これは御堂に返しておく。」
「あ、ああ…分かったよ。」
シークレットリングに視線を向けた御堂は、
無理な追求を避けて大人しく指輪を受けとってくれていた。
「きみがどんな成長を果たしたのかは戦場で見せてもらうよ。」
…ああ、それで十分だろ。
何も聞かないでくれた御堂に笑顔で約束することにした。
「その時が来れば俺も御堂を守るために戦うつもりだ。だからまあ、それまでは『お楽しみ』として期待していてくれればいい。」
「ははっ、そうするよ。」
自信をもって宣言したことで、
俺の言葉を信じてくれたようだ。
御堂は俺の能力に関する追及を避けて、
手短に話を終えてくれていた。




