一人で生きていく
《サイド:上矢遥》
…そう。
そうなのね。
「そうやってあなたは生きていくのね。」
全てを背負って。
全てを堪えて。
「たった一人で生きていくのね…。」
御堂君が抱える孤独と絶望。
それらを知ることが出来ないまま。
説得を断念してしまったの。
「あなたは…優しすぎるわ。」
全てを一人で抱え込む御堂君を見て、
ため息を吐くしかなかったのよ。
「…でも、そうならなければいけないほど多くの絶望を乗り越えてきたということなのかもしれないわね。」
親友の死という絶望を知った私でさえも理解できない悲しみを経験しているということよ。
…私にはまだ分からないのね。
私ではまだ悲しみを分かち合えないのよ。
…だから今は。
悲しみを抑え込んで優しい笑顔を見せる御堂君を見てしまったから、
私も流れていた涙を拭ってまっすぐに向き合うことにしたの。
「沙織ほど役には立てないかもしれないけれど、私も御堂君に協力するわ。だけど…これだけは忘れないでね。」
何を言っても無駄かもしれないけれど。
それでも言わずにはいられなかったのよ。
「あなたが死ねば悲しむ人がいるわ。あなたが仲間の死に絶望を感じるように…あなたの死を悲しむ人がいるはずなのよ。だから誰かを守って死を選ぶようなことだけはしないで…。それだけが私の願いよ。」
もう二度と仲間を死なせない。
そしてもう二度と仲間を失わない。
そのためになら私も成長してみせる。
「私も一緒に戦うから…だから一人で抱え込まないでね。」
同じ苦しみを持つ者として、
御堂君の生存も願っているの。
「大切な人を失う悲しみを誰かに感じさせるような結果には…しないでね。」
ただそれだけを告げてから御堂君の前から立ち去ることにしたの。
私の傍にいてくれる仲間達と合流するために、
いるべき場所に戻ることにしたのよ。




