身に染みる
「うんうん。友情って良いわよね〜。」
…ん?
「見ていて羨ましいって言うか何て言うか。まあ、今の私にはないものだから余計にそう思うのかもしれないけれど。心を分かち合える相手がいることの大切さが身に染みるわよね。」
…大切さが身に染みる、か。
何かあったのだろうか?
僕に歩み寄りながら話しかけてきたのは見覚えのある女子生徒だった。
…上矢さん。
彼女も誰かを失ったのだろうか?
「久しぶりだね。」
「ええ、そうね。こうして話をするのは久し振りになるわね。まあ、あの大会からまだ2週間も経っていないけどね。」
…ああ、そうか。
前回の大会からはまだ10日しか経っていないんだね。
まだたったそれだけの日数しか経過していないのに、
もう何か月も過ぎているようなそんな気がしてしまう。
…これほど日々が長いようで短く感じるのは初めてかな。
永遠にも等しい長さのようで、
一瞬にも等しい短さのような気がするんだ。
激動の日々っていうのかな。
僅か10日の間に僕を取り巻く環境は大きく変化していた。
…あの日から、まだ10日なんだね。
総魔に再戦を挑んで敗れた日から、
まだ10日しか経っていないんだ。
だけどたった10日間の日々が僕からあらゆるモノを奪って、
あらゆるモノを遺してくれている。
総魔を失い。
沙織を失い。
真哉を失い。
翔子を失い。
多くの仲間を失った。
だけど同時に多くのモノも手に入れたと思う。
亡くなった仲間達の想いもそうだけど。
成美ちゃんとの出会いや新たな仲間達との出会い。
それらが僕を成長させてくれて、
今の僕の心の支えになっているんだ。
…だからかな。
自分でも良く分からないと思う。
今の状況が辛いのか?
それとも幸せなのか?
それさえ分からないんだ。
失ったモノは多いけど、
手に入れたモノも同じくらい多いから。
僕にはまだ守りたいモノがあると思える。
友の意志を継いで共和国を守り抜くこと。
そして大切な仲間達を守り抜くこと。
忘れられない想いがある限り、
僕はまだまだくじけずに頑張れる気がした。




