あなたにとって
『ダメ…。今のあなたにはまだ無理だから…。今はまだ…』
…えっ?
突然、声が聞こえてきたんです。
…今の声って?
突然聞こえた声戸惑いを感じてしまいました。
聞き覚えのある声だったからです。
たった一度きりでしたが、
微かな記憶の中でもはっきりと覚えていました。
…深海、優奈、さん?
心の中で問い掛けてみたことで、
深海さんは応えてくれたんです。
『今は…まだ大丈夫…です。兵器はまだ、完成してないから…だから…無理はしないで…』
とぎれとぎれに聞こえる声でしたが、
それでも深海さんの声は私の心に直接届いていました。
『…無理はしないでください…。あなたが苦しむ姿を…沙織先輩も…翔子先輩も…望んでいないから…今のあなたにはまだ…秘宝は…使えないから…』
…だったら!
だったら教えてくださいっ!!
…私はどうすれば良いんですかっ!?
『自分を信じて…ください。自分の力を…信じてください…。その瞳に宿る力を…その想いを…信じてください…。きっと見えるはずです…。あなたにとって大切な心が…その絆が…見えるはずです。』
…絆?
どういうことですか?
『もうすぐ…もうすぐ逢えるから…だから…だからそれまでは…無理をしないで…ください。』
…もうすぐ逢える?
それは誰にですか?
深海さんにですか?
…それとも?
『…あなたにとって…大切な…人に…です。』
…私にとって大切な人?
それが誰の事なのかが分かりませんでしたけれど。
それ以上の質問をする前に深海さんの声は消えてしまいました。
…深海さんっ!
…深海さんっ!!
必死に呼び掛けてみましたが、
私の呼び掛けに返事は返って来ません。
…教えてください。
私はどうすれば良いんですか?
不安と期待を込めて問い掛けてみても、
深海さんは教えてくれませんでした。
…あなたは今、どこにいるんですか?
残された魂と想い。
その行方を問い掛けてみても返事は返ってきません。
…私は秘宝を使わなければ良いんですか?
今の私には『使えない』と教えてくれた深海さんの言葉を信じることにして、
秘宝による探索を中断することにしました。




