秘密の話
《サイド:栗原薫》
…ついにミッドガルムまで来たのね〜。
昨日まではセルビナにいたはずなのに、
気が付けばさらに遠くまで来てしまったのよ。
…ホントに、遠くまで来たわね〜。
これまで防衛に徹していた共和国が自国を出て敵地に進軍しているのよ。
それだけでもすごいことなのに、
今は私も部隊の一員として行動してるなんて数日前までなら考えもしなかったわ。
…はあ。
戦争なんてやらなければいいのに。
本気で思うけれど、
なってしまった以上は何とかするしかないのよね。
そして私の考えは御堂君も同じだったのかな?
こっそりと成美に頼み事をしていたわ。
「…成美ちゃん。」
「はい…?」
周りにいる仲間達に聞かれないように小声で話し掛ける御堂君の呼び掛けに気付いた成美が、
不思議そうな表情で御堂君を見上げてる。
「どうかしましたか?」
「あ、ああ…。」
自然と小声になりながら話し合う二人だけど。
当然、私は気づいてるわよ。
成美と手を繋いで歩いているから嫌でも会話が聞こえてくるわ。
…ん~。
秘密の話ね~。
この状況で周りに聞かれたくない話となると考えられる可能性はあれかしら?
心当たりに気付いたことで、
私は何も言わずに無言のままで歩みを進めることにしたの。
その間にも成美と御堂君の会話は続いているわ。
「秘宝の力で兵器を探索してほしいんだけど…何とかならないかな?」
秘宝の存在を秘匿するために、
小声で問い掛ける御堂君だったけど。
残念ながら成美には無理みたい。
「あ、いえ…まだそこまで使いこなせていませんので、知らないモノを探すのは…」
出来ないと答えようとしていた成美だったけれど。
それでも御堂君は願い続けていたわ。
「ミッドガルム軍の動きや大きな力の動きとか、そういうところからでも何らかの情報は掴めると思うんだ。難しいことかも知れないけど、何とか頼めないかな?」
「は、はい…。」
真剣な眼差しで願う御堂君に断れなかったのか、
自信なさそうな表情で頷いた成美は戸惑いながらも引き受けていたわ。
「えっと、その…。出来る限りの努力はしてみます。でも、あまり期待はしないで下さい…。」
自信がないという以前に、
そもそも使い方が分からないから約束はできない様子の成美だけどね。
それでも精一杯の努力をしようとはしていたのよ。




