疑わせる要因
《サイド:黒柳大悟》
…やはりミッドガルムか。
御堂君の推測はそれほど外れてはいないだろう。
おそらくそうだろうと俺も考えているからな。
そしてこの場にいる誰もがその可能性を考慮しているはず。
「終戦後、僕達はセルビナの王都においてセルビナ軍に協力を願いました。その一つとして各国の停戦要請も頼んでいたのですが…」
…おそらくもう無理だろうな。
御堂君も諦めるしかないと考えているのだろう。
言葉をとぎらせて小さくため息を吐いている。
「ですが、王都が兵器による攻撃を受けたことでセルビナ軍が壊滅した可能性があります。」
停戦要請を行う前にセルビナの王都は壊滅してしまったのだ。
当然、王都にいた共和国の多国籍軍もろともセルビナの海軍も陰陽師軍も全滅した可能性がある。
もちろんそこを口に出すのは控えたが、
それでも御堂君は停戦要請が実行される前に妨害されてしまった事実を宗一郎さんに告げていた。
「セルビナ王国からの停戦要請が妨害されたことで、ミッドガルムだけではなくてイーファやカーウェンまでも戦争を続行する結果になってしまったと思います。」
セルビナの王都にいたはずの野々村斉蔵が死亡していれば停戦要請は行われない。
だからこそ早急に次の手を考える必要があるのだ。
「御堂君の言うように、セルビナ王国の協力は望めないと思われます。おそらく停戦の交渉も実現できないかと…。今のままでは各国が戦争を続行するのは明確であり、話し合いで解決するのは難しいと思われます。」
共和国の訴えは通らないことを告げた。
そしてアルバニア王国も戦争を前提として軍を進めている現状だからな。
そもそも停戦は難しいだろう。
「少なくともミッドガルムが所持していると思われる兵器を破壊しない限り、戦争を終わらせるのは難しいと思われます。」
兵器が存在する限り、
共和国は常に恐怖を抱え続けることになってしまうのだ。
アストリア王国と同じ運命を辿る結末を回避する為には兵器の破壊は絶対条件と言える。
「ミッドガルムとの戦争に関しては回避不可能だと思われます。兵器の所持はまだ不確かですが、それでも早急に対処すべきです。」
ミッドガルムが最も疑わしいと思われる現状で迷っている暇はないのだ。
「例え全面戦争になるとしても、ミッドガルムへの進軍を行うべきです。」
時間を与えれば与えるほど共和国は滅亡に近付いていく。
その最悪の悲劇を回避するためには戦うしかない。
「…ふむ。、なるほどな。報告が確かであればミッドガルムとの争いは避けられんだろう。兵器の所持に関わらず、ミッドガルムへの進軍は必要だろうな。」
一度は成立した停戦をミッドガルムはあっさり破棄してきたのだ。
その強行的な態度そのものが、
兵器の存在を疑わせる要因の一つでもある。
「可能性としてミッドガルムが最も疑わしい現状では話し合いによる時間の浪費は共和国の滅亡に繋がりかねんな。ならば兵器が実在するという事実が存在する以上。早急にミッドガルムを制圧する必要があるか。」
兵器の現存という最大級の絶望を感じる宗一郎さんは、
ミッドガルムへの進軍を決断してくれた。
「ミッドガルムを攻め落とすぞ!!」
戦争継続という決断によって、
俺達は新たな戦いに挑むことになったのだ。




