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THE WORLD  作者: SEASONS
4月25日
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2239/2325

それだけで十分

「失礼します。」



礼儀正しく一礼してから会議室に入室した男に、

俺と由美はほぼ同時に視線を向けた。



…ほう、もう来たのか。



「あら、思ったよりも早かったわね。」



会議室にやって来た男性に微笑みを向ける由美に男が返事をする前に、

俺も笑顔を浮かべながら出迎えることにした。



「待っていたぞ。」


「は、はい。遅くなって申し訳ありません。セルビナの砦に布陣していた1万の陸軍の部隊を率いて帰還いたしました。」



セルビナ軍の動きを考慮してセルビナ側の国境の砦に布陣していた楠木司令官だったが、

俺の推測通りに無事にミッドガルムで合流を果たしてくれたようだ。



「それと黒柳大悟が率いる海軍の部隊も間もなく到着いたします。多国籍軍を率いていた鞍馬信彦も共に行動しているようですので、まもなく合流できると思います。」



…ほう。



やはり大悟達も来てくれたのか。



…思っていたよりも行動が早くて助かるな。



「その部隊には御堂龍馬と常盤成美もいるのか?」



二人の所在を確認してみたことで、

楠木司令官は少しだけ戸惑いながら答えてくれた。



「御堂龍馬に関しては確認していますが、もう一人に関しては分かりません。」



…ああ、そうか。



常盤成美の名前を知らないのだろう。


御堂龍馬に関しては大悟の部隊に参加してると聞いているはずだが、

部隊の中に誰がいるかという詳細までは把握していなくても当然だ。



…とは言え。



御堂君の無事が確認できればそれだけで十分だった。



…御堂君がいるのならば、その傍にいるはずだからな。



秘宝を持つ少女、常盤成美。



クイーンの目的や竜崎の目論みは今だに不明だが、

常盤成美の手に秘宝は有り、

俺達が布陣する砦まで迫ってきているのだ。


その事実だけで少なからず希望を感じてしまう。



…公の場で秘宝を使うわけにはいかないが。



千里の瞳があれば、これからの戦局において共和国が優位に動けるのは間違いない。



全てを見通す力を持つ秘宝『千里の瞳』の力があれば、

ミッドガルム軍の動きを監視することも不可能ではないからな。



…予想通り、こちらの戦力が集結しつつある。



まずは各地の情報を整理して、

今後の計画を考えることが最優先になるだろう。



幻夜が提案してきた3ヵ国同盟を成立させるためにも、

一度全員で話し合う必要があるかもしれない。



「黒柳達が到着次第、軍議を始めよう。そこでアルバニア王国との関係とその目的。そしてミッドガルムへの対応を話し合うつもりだ。」


「ええ、分かったわ。」



俺の意見を受け入れてくれた由美は質問を中断してくれた。



「それじゃあ、ひとまず今は黒柳大悟の到着を待ちましょう。」


「了解です。」



由美の意見に賛同する楠木司令官を眺めながら、

俺も側に控えていた前園副隊長に指示を出すことにした。



「前園君。これより本格的な軍議を執り行うことになるだろう。黒柳が到着する前に。長野君や上矢君達を呼んできてくれないか?」



現在、長野君は砦の警備の為に会議室を離れている。


そして芹澤里沙君や上矢君達は医務室の内部で負傷した兵士達の治療を行っているはずだ。



そのため。


主力と呼べる彼等を呼び寄せたいと考える俺に、

前園副隊長は即座に返事をしてくれた。



「分かりました。早急に呼び集めます。」



会議室を退室する前園奏が立ち去ったことで、

室内には俺と由美と楠木司令官の3人だけが残った。



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