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THE WORLD  作者: SEASONS
4月24日
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2223/2331

コロコロと変わる性格

《サイド:文塚乃絵瑠》



午後5時を迎える頃。


カリーナ魔術師ギルドにある地下訓練場での長い長い訓練の中で、

ようやく私は成長への第一歩になる影の操作を極めつつあったわ。



「ブラック・アロー!!!」



魔力を込めて展開する魔術。


これは闇の塊とも言える黒い矢を生み出す初歩的な魔術なんだけどね。



「あらあらっ♪ついこの間までは一本が限界だったのに随分と成長したわね♪」



数十本の黒い矢が生まれた瞬間に、

美咲さんが私を褒めたたえてくれたのよ。



「さすが乃絵瑠ちゃん♪きっかけさえ掴めば、成長が早いわねっ♪」



…うぅ~ん。



褒めてくれるのは嬉しいけれど。



どうなのかな?



最高の笑顔で褒めてくれる美咲さんの賛辞をあっさりと無視しつつ、

的に向かって黒い矢を放ってみる。



『ビュビュビュンッ!!!!』と風を切りながら的に向かった黒い矢は寸分の狂いもなく見事に的に命中して的の中心を撃ち抜いていたわ。



「良しっ!」



自分で自分の成長を実感できたのよ。



…まあ、この程度のことはわりと誰でも出来るんだけどね。



それでも苦手だった魔術が使えるようになったことで美咲に振り返ることにしたの。



「もう大丈夫ですっ!影の操作は完璧です!」


「これで闇への第一歩は完了ね♪」



満面の笑みで成長を喜ぶ私を見て、

美咲さんは笑顔を見せてくれているのよ。



「次は闇そのものの訓練よ♪」



影から発展させる闇魔術。



…やっとここまできたのよ。



今までずっと求めていた魔術を極めた時に、

私はさらなる力に目覚めるはずだと美咲は言っていたわ。



「あと一歩ね♪」


「はい!」



ついつい嬉しくなってはしゃいでしまったんだけど。


どうやら今日の訓練はここまでみたい。



「それじゃあ、今日はここまでにしておきましょう。続きは明日の朝ね。その時に乃絵瑠ちゃんが乗り越えるべき本当の訓練を教えてあげるわ♪」



…え?



「本当の訓練…ですか?」



…それじゃ、今までのは何だったの?



もしかしていらなかったの?



色々と疑問を感じてしまって戸惑ってしまったんだけど。



「ふふっ♪」



美咲さんはいつもと同じように楽しそうに微笑んでる。



「詳細は明日の朝の『お・た・の・し・み』よっ♪」



無邪気なほど純粋な笑顔なのに。


美咲さんの笑顔の裏には、

どす黒い陰謀が隠れてるってことを私はすでに知ってる。



「出来れば聞きたくないんですけど…?」



むしろ朝なんて来なくても良いと思えるほどの不安を感じてしまったのよ。



…なのに。



美咲さんは私の手を引きながら、

2階の部屋に向かって歩いてしまうの。



「上手く行けば明日の午後には私の訓練が終わるかもしれないわね~♪」


「そ、そうなんですか?」


「えっ!?そんなに嬉しいの…?」



予想外の言葉を聞いて抑え切れない喜びを表情に表してしまった私の笑顔を見た美咲さんが、

悲しみの涙を流しながら切なさを訴えてくる。



誰が見ても完璧な泣き顔なのよ。


悲しさや切なさや絶望までも表す涙を見て、

道行く人々がざわざわとざわめながら私達に視線を向け始めてる。



…うぅっ。



居心地の悪さを感じて挙動不審になってしまう私に、

美咲さんは涙を流しながら問い掛けてくるの。



「そんなに…嬉しいの?」



…あぅ。



繰り返される質問に対して、

必死に謝罪するしかなかったわ。



「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!そんなつもりじゃなかったんですっ!!」



慌てて謝罪してみたんだけど。


美咲さんは容赦なく質問を続けてくるのよ。



「それじゃあ…どういうつもりなの?」


「ぁぅ…っ。」



言葉を詰まらせて困り果てる私を見つめながら、

美咲さんは小さな声で囁いていたわ。



「訓練を止めようかしら?」



…ぬぁっ!?



突然の発言に困り果てる。


そんな私に対して、

美咲さんは小さく微笑んでいたわ。



「なんてね。冗談よ♪」



…冗談?



美咲さんの暴走にはもう何も言えなくなってしまう。



泣いたり笑ったりと、

コロコロと変わる性格の変化に追いつけないからよ。



…ちょっと、シンドイ…かも。



心から思ってしまったの。


それでも美咲さんは私の手を引きながら、

2階への階段を登っていったのよ。



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