共和国の要求
「まず始めにセルビナ王国には戦争を引き起こした責任をとってもらため為に一時的に共和国の属国になってもらう。」
「うむ。当然の判断だな。異論はない。」
敗戦したセルビナ王国を共和国の支配下におくことを野々村さんは即座に受け入れてくれたんだ。
「まあ、属国とは言っても俺達は領土を求めているわけでも侵略を目的としているわけでもないからな。共和国としてはこの国を支配しようとは考えていない。あくまでも今後の方針が確定するまでの間の一時的な処置として、この国を管理するだけだ。」
アストリア王国との戦争によって米倉理事長が死亡したことで、
現在の共和国には代表が存在しないからね。
そのために国の方針という重大事項を決められる人物がいないせいで、
今すぐにセルビナ王国に対する処罰や方針を定めることが出来ないという事情もある。
…理事長が亡くなったうえに、米倉さんもここにはいないからね。
さすがにこの状況で黒柳所長が独断で判断するわけにはいかないと思う。
ジェノスの港を出港する前にセルビナの扱いに関して話し合っていたらしいから、
おおよその方針は決まっているみたいだけど。
それでも具体的な詳細までは決めてなかったそうだ。
…各国の動きも関わって来ることだし。
完全に戦争が終わったと言えるまでは決められないだろうね。
ミッドガルムの動き次第では戦争は続いてしまうんだ。
セルビナ王国を支配しただけでは完全に終わったとは言い切れない。
…だからまずは戦争を終結させる事が最優先かな。
その為に黒柳所長は野々村さんに今後の方針を告げるようだ。
「ひとまずセルビナ王国には戦争を終結させる為に協力してもらう。周辺各国に停戦を呼びかけて戦争を止めてもらいたい。」
イーファやカーウェンにアルバニアやミッドガルムの各国にセルビナの敗北を告げて、
戦争の中止を求める役目をセルビナ王国に託していた。
「共和国は争いを望んでいないからな。殺し合うことも傷付け合うことも望みはしない。セルビナの軍や国民の生存を望む事と同様に、他国の人々の生存も願っている。だからこそ今は戦争を終わらせることを何よりも優先させたい。」
これ以上の無意味な死を増やさない為に。
そして一人でも多くの命を守る為に。
セルビナの協力を求めたんだ。
「俺達と共に戦争の終結に向けて行動してほしい。」
ただそれだけを願う黒柳所長の指示を受けた野々村さんは、
素直に各国との停戦交渉を受け入れてくれていた。
「良いだろう。セルビナ王国は今回の責任を果たす為に全面的に協力することを約束する。」
和平を進める為に。
セルビナ王国を戦争から解放する為に。
野々村さんは指示を受け入れてくれたんだ。
そしてさらなる協力も約束してくれていた。
「各国に停戦を呼び掛けよう。どうなるかは分からないが、最大限の努力はするつもりだ。だがもしも各国が戦争を止めないという判断になったならば…その時は全ての軍隊を動かしてでも共和国と共に戦うことを約束しよう。」
もしも各国が戦争を止めなければ?
もしも各国が共和国に攻め込むつもりなら?
共和国の盾として。
共和国の剣として。
共和国の為に戦うことを誓ってくれたんだ。
「今の我等があるのは共和国の配慮のおかげだ。その恩に報いる為に我等も共に戦うことを誓う。」
数万に及ぶ海軍と残存する陰陽師軍や陸軍の部隊に王城の衛兵まで、
全ての軍隊を総動員してでも共和国と共に戦うことを宣言してくれた。
「セルビナ王国は共和国に従属する。そしてこの国の運命を共和国に托す。それが我等の果たすべき責任だからな。」
共和国とは二度と争わないことを前提として、
野々村さんは全てを受け入れる覚悟を示してくれたんだ。
「全ての王族は戦争責任を断罪してこちらで処刑を行わせてもらう。わざわざ共和国が手を汚す必要はない。本宮が自らの命を懸けたように、我等の手で全てを終わらせよう。それだけはこちらに任せてほしい。」
「ああ、分かった。」
王族の処刑という方針も示した野々村さんの覚悟を黒柳所長は認めていた。




