最後の命令
「もはや我等に望むべき未来はありません。こうなってしまった以上…この命がある限り、この国の行く末を見届けようと思います。」
栗原さんの想いによって戦意を失った陰陽師軍が停戦を受け入れてくれた。
そして協力を約束してくれたんだ。
「停戦に協力します。」
頭を下げたままで協力を誓ってくれた本宮さんだったけれど。
「ふ、ふざけるなっ!!」
その行為が裏切りに見えたんだろうね。
国王だけは怒りの声をぶつけていた。
「貴様まで国を裏切るつもりかっ!!」
「…いえ、国を裏切るつもりなどありません。ですが、もう終わりにいたしましょう。」
怒りを表わにして激怒する国王に対して、
本宮さんは説得を試みていた。
「これ以上戦い続けても我等の敗北は覆りません。もはやセルビナ王国には戦い抜く力がないのです。」
「………。」
海軍と陸軍は動かない。
陰陽師軍も大半が王都を離れている。
王城の衛兵達も僕達の力に屈して動けない。
そして誰もが栗原さんの想いによって心に迷いを抱えてしまって、
戦うことへの疑問を感じてしまっている。
この状況で戦争を続行するのは事実上不可能で、
セルビナ王国に戦う力は残されていないはずだ。
「…我々の敗北です。」
「まだだっ!!」
冷静に告げる本宮さんの言葉を国王は全力で否定していた。
「まだ終わってなどおらんっ!!セルビナ王国は滅んでおらんっ!!」
必死に声を荒げる国王だけど。
誰一人として国王を救出しようとはしないままだ。
1万の陰陽師軍も。
数千の衛兵達も。
誰一人として国王の救出に動き出さなかった。
その現実には国王も悔しさを感じている様子だった。
「まだだ…っ!まだ…っ!!」
何度も何度も繰り返して呟く国王だけど。
それでも現実は変わらない。
「現実を受け入れてください。」
「………。」
静かに願う本宮さんの言葉を聞いて、
国王は憎しみ込めた瞳で最後の命令を告げようとしていた。




