あなたの罪を確認します
「「「「「………。」」」」」
栗原さんの想いによって共和国軍も陰陽師軍も動きを止めた。
…ひとまず戦闘は中断したようだね。
次は話し合いを行う必要がある。
栗原さんの魔力が限界に達して光が途切れたことで、
フェイや特風の生徒達に次の一手を託すことにしたんだ。
「みんなは多くの人々を広場に誘導してほしい。敵も味方も関係なく、一人でも多くの人々に僕達の話を聞いてもらいたいんだ。」
「ああ、良いだろう。」
僕の願いを受け入れてくれた仲間達がそれぞれに動き出そうとしている。
「多国籍軍にも協力を願って王都全域に召集をかけよう。どの程度集まるか分からないが最善は尽くす。」
真っ先に動き出したフェイがマリアさん達と共に離れて行く。
そしてその後すぐに和泉さんも仲間と共に動き出してくれたんだ。
「この人は御堂君に預けるわね~。」
国王を縛るロープの一端を僕に預けた和泉さんは、
ひとまず共和国軍と合流することにしたようだね。
「それじゃあ、私達は黒柳所長と話し合ってから行動するわ。とりあえず陰陽師軍がどうするか分からないけれど、戦闘が再開する可能性もあると思うから十分に気をつけてね。」
「ああ、大丈夫だよ。」
国王を捕らえる僕達に陰陽師軍が襲い掛かってくる可能性があると考える和泉さんだけど。
その心配はいらないと思うよ。
「大丈夫だよ。きっともう戦闘は起きない。それだけは自信を持って断言できるからね。」
例え僕達が国王の身柄を拘束しているとしても。
例え陰陽師軍がその事実に気付いたとしても。
戦闘にはならないと思うんだ。
「陰陽師軍の人達は話し合えば分かり合えると思うよ。」
本宮源吾さんがそうであるように。
栗原さんの想いを受けて動きを止めた陰陽師軍が再び戦闘を再開する可能性なんてないと思う。
だから自信を持って否定したんだ。
「大丈夫。彼等は信じられるからね。」
海軍がそうだったように。
陸軍がそうだったように。
陰陽師軍の説得も可能だと思ってる。
「みんな分かり合えるんだよ。」
心を示して話し合えば想いは必ず伝わる。
「僕達で戦争を止めよう。」
「ええ、そうね。それが…翔子や沙織のためなのよね。」
…ああ、そうだ。
「戦争なんて、誰も望みはしないはずなんだ。」
「…うん。」
アストリアで戦死した親友を想う和泉さんは、
特風の仲間達と共に最後の作戦へと動き出してくれた。
「それじゃあ、行ってくるわね。」
立ち去る和泉さんを追って岩永君達も離れていく。
みんなの後ろ姿を見送ったあとで残る仲間達に視線を向けてみた。
残ったのは栗原さんと成美ちゃんと鈴置さんだけだ。
たった3人の仲間だけど。
今の僕には十分すぎる戦力だと思える。
「これからあなたの正義を確かめます。」
改めて国王と向き合うことにしたんだ。
「アストリア王国は正義を貫いて最後まで戦いました。僕はその事実を知っています。」
共和国を憎む人々を集めて、
全ての準備を整えて復讐を願ったアストリア王国は国全体の総意として戦争に挑んだ。
だからこそアストリア王国の心と願いを僕は知っている。
全ての人々が自らの命を懸けて、
国の存亡を懸けてでも共和国の滅亡を願ったアストリア王国の信念を知っているんだ。
だけどね。
セルビナ王国は違う気がするんだよ。
争いを望まない人々が多かったから。
その考えは民間人だけではなくて、
軍の内部にまで及んでいたように思う。
だからこそ飯塚さんや野々村さんのような協力者も現れたんだ。
そして今では陸軍も陰陽師軍も戦闘を中断している。
むやみに争うことに疑問を感じて、
平和を望む人々の協力によって僕達はここまで来ることが出来たんだ。
「セルビナ王国の総意が戦争か和平か?その真偽を確認したいと思います。」
「………。」
これから明らかになる真偽によって国王の罪は確定することになる。
「あなたの罪を確認します。」
国王に話しかける僕の後方で、
全ての共和国軍が広場からの移動を開始しようとしていた。




