だからこその英雄
《サイド:黒柳大悟》
「陰陽師軍を押し戻せーっ!!」
死を覚悟する陰陽師軍の猛攻を必死に凌ぎ続ける。
…ふう。
もはや敵の殲滅は時間の問題だな。
俺が率いる海軍の部隊に加わってくれた鞍馬信彦の部隊が陰陽師軍の側面に突撃してくれているからだ。
「陰陽師軍を殲滅しろ!!」
「「「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」
突撃を行う多国籍軍。
フェイ達と同様に王都にたどり着いた多国籍軍は、
広場での戦いに合流して全滅覚悟の陰陽師軍に攻撃を開始してくれていた。
「これが最後の戦いよっ!!」
必死に叫ぶのはリン・ラディッシュだな。
「魔術師の力を見せ付けろっ!」
同行していたオルバ・レグリックも部隊を率いて進軍している。
「進めーーーっ!!!!」
鞍馬信彦の指揮の下で動く多国籍軍の協力を受けながら、
俺も部隊を進めることにした。
「このまま陰陽師軍を包囲しろっ!!」
部隊を散開させて陰陽師軍の包囲を完成させる。
そうして敵の制圧を進める間に藤沢君が話し掛けてきた。
「姿を隠した御堂君達の姿は現在もまだ見つかっていません。多国籍軍からもフェイ・ウォルカを含む小数の生徒が行方をくらましているそうです!」
…やはり見つからないか。
「そうなると御堂君達は…」
「王城に潜入したと思われます。」
…だろうな。
「どうするつもりなのでしょうか?」
…ふむ。
そうだな。
「単純に考えれば王族に降伏を迫るというところだろう。」
御堂君達に限って暗殺はないだろうからな。
「おそらくは王族の捕縛か説得のどちらかだろう。」
姿を消した御堂君達を責めるつもりはない。
彼らはあくまでも善意の協力者であって軍人ではないからだ。
だからこそ彼らの活躍を期待して、
微笑みを浮かべてしまっていた。
「俺には出来なかったが彼等ならこの状況を覆せる何かを起こしてくれるのかもしれん。そう信じるからこそ、彼等の独断専攻にも期待が持てるというものだ。」
「…そういうものですか?」
…ああ、そうだ。
藤沢君には理解できないかもしれないが、
御堂君達はそうでなくてはならないと俺は思っている。
「全てを割り切って殺し合うよりも未来を信じる力を持ち続けてもらいたいからな。」
だからこその英雄なのだ。
共和国の未来を切り開く為に。
セルビナの未来を切り開く為に。
御堂君達には希望を持ち続けてもらいたいと考えている。
「今は彼等の自由にさせてやろう。」
…それが望むべき未来に繋がると信じてな。
今だに目覚めない西園寺君を気にかけながらも、
ひとまず今は戦闘を継続することにした。




