国家再編成
「今回の行軍に関して俺は国王に一つの提案をしてきた。陰陽師と魔術師の共存を目指すのならば、その為の場所を用意するべきではないか?とな」
…共存のための場所だと?
「それはどう言う意味だ?」
「簡単なことだ。魔術師の国である共和国と陰陽師の国であるアルバニアの間に両者が混在する国家を用意するということだ」
…両者が混在する新たな国を作り上げる?
「単純に大陸南部の東西を共和国とアルバニアで分けることも考えたが、それでは和平の実現は難しいだろう。おそらくだが、肥大化した共和国を恐れる他国からの侵略は避けられないように思う。そして何より、俺やお前が生きている間はそれでも良いが、俺達が死んだあとにまで和平を維持していくことを考えれば、両国を繋ぐ第3者は必要不可欠になる。」
…ああ、なるほどな。
確かに大陸南部を共和国とアルバニアで分けるだけでは、
魔術師の国と陰陽師の国という構図は永遠に変わらないからな。
両国の境界線を消し去らない限り。
仮に数年は和平が成立したとしても、
いつの日にか崩壊してしまう可能性は否定できない。
なにより両国が住家を分けたまま個別の方針を進めていては悠久の時の流れの中でいつか再び対立する可能性を否定できないだろう。
だからこそ両国を繋ぐ存在が必要だと指摘する幻夜の考えは理解できる。
「アルバニア王国とファンテリナ魔導共和国、そして新たな国の3国で大陸南部を再編成する。それが俺の考えている計画になる。」
…国の再編成か。
実現できれば共和国にとっても有り難い話だなのは間違いない。
「随分と壮大な計画だな。」
「ああ、そうだ。だが上手くいけば戦争は二度と起こらないはずだ。」
…そうだな。
百年先、あるいは二百年先まで考えれば、
この計画には大きな意味があるだろう。
「3ヶ国同盟が成立すれば共和国の独立も認められて他国からの侵略に怯える日々から解放されるはずだ。今回の計画は大陸南部全土の安定を目指した国家再編成なのだからな。」
…大陸南部の領土を3つに分けるという世界規模の計画か。
統合される側の国にとっては迷惑な話かもしれないが、
このまま対立を続けていればいずれはどこかの国が滅亡することに変わりはない。
だとすれば今回の戦争を最後として大規模な改革を実現してしまったほうが被害は最小限にとどめられるだろう。
それこそ何年も戦争を続けていたら国力の低下は避けられないのだからな。
そんなつまらない事態を繰り返すよりも、
各国を再編成して次の時代のための発展を目指すほうが遥かに有意義と言える。
現在は共和国とミッドガルム、
セルビナ王国とアルバニア王国、
イーファとカーウェン連合国の6ヶ国に別れる大陸南部。
アストリア王国は領土自体が消滅した為に再編成の範囲に含まれないが、
残る6ヶ国を3国に編成し直すというのが幻夜の提案した計画だった。




