同罪
「あの方の血を途絶えさせたのは俺の責任だ。」
…責任か。
それは幻夜だけではないだろう。
今では俺も同罪なのだからな。
「…いや。血が途絶えたと言う意味であれば、それは俺の責任でもある。天城総司の子である天城総魔を見殺しにしたのだからな。アストリア王国に復讐を願う彼を引き止められなかったのだ。」
「なっ!?天城総魔だと?まさか…生きていたのか!?」
「ああ。実際に会って話をしたから間違いない。」
たった2日間だけの付き合いでしかないが、
天城総魔は確かに生きていた。
そして両親を殺された恨みを晴らす為に、
アストリア王国に戦いを挑むことを宣言していたのだ。
その結果として共和国は守られて、
アストリア王国は滅亡した。
だが、その勝利と引き換えに天城総魔の命は失われてしまい。
天城の血は途絶えてしまったのだ。
だからこそ天城総司を守れなかった幻夜と、
天城総魔を見殺しにした俺の罪はどちらも同じであり、
同じ苦しみを背負っていることになる。
「あの日の悲劇から生き延びていた天城総魔を俺は見殺しにした。共和国に戦争を仕掛けてきたアストリア王国との戦いにおいて彼に協力を願い、彼を戦場に送ったのだ。だから天城の血が途絶えたのは俺の責任でもある。」
かけがえのない親友の息子である天城総魔の死が俺の心に新たな傷痕を残していた。
「…そうか。アストリアとの戦いに関与していたのか。」
「ああ、だからこそ責任の一端は俺にもある。」
そして俺としては幻夜に落ち度はないと思っている。
いつも、いつの時も責任は俺にあるからだ。
総司の側にいながら、何も出来なかったこと。
天城総魔の生存を知りながら、
その命を見殺しにしたこと。
そのどちらも俺の責任なのだからな。
天城総司と天城総魔のどちらにも関わっていながら、
どちらの命も救えなかったのは俺だ。
だからこそ罪の意識は誰よりも深かった。
「幻夜、お前は何も悪くはない。悪いのは…いつも俺だ。」
落ち込んだ表情で瞳に涙を浮かべる俺に、
幻夜はそっと手を差し延べてくれていた。
「そう言うな、宗一郎。俺はいつでもお前の味方だ。これまでも…そしてこれからもな。」
「…それはどういう意味だ?」
「ふっ。つまりだ。杞憂幻夜の名の下に、アルバニア王国の全ての陰陽師軍は共和国に味方するということだ。」
…なっ!?
「アルバニア王国は共和国と同盟を締結する方針を決定した。俺達はその交渉の為にお前に会いに来たのだ。」
…アルバニアが同盟の交渉だと!?
「本気で言っているのか!?」
「ああ、もちろんだ。」
戸惑う俺と握手を交わしながらも、
幻夜ははっきりと宣言してくれた。
「今日をもってアルバニア王国は反共和国同盟から離反する!そしてセルビナとミッドガルム、さらにはイーファとカーウェンの各国を制圧して二度と戦争が起こることがないように全ての国々を支配下におくことを決定した!!」
…なっ!?
全ての国を敵に回すだとっ!?
「分かるか?宗一郎。俺達で大陸南部を統一するのだ。もう二度と絶望を生み出さない為に。もう二度と悲劇を繰り返さない為に…俺達の力で世界を変えよう。」
…世界を変える、だと?
予想していなかった発言に戸惑ってしまったが、
力強く宣言した幻夜は俺達が進むべき道を示してくれたのだ。




