無限の魔力
《サイド:長野淳弥》
…ちっ!?
やっぱり竜道寺は倒せないのか!?
「これで終わりだ…。」
膨大な魔力を魔剣に送り込んでいるはずなのに。
消費に反して瞬時に魔力が回復しているのは明らかだった。
「どうしてなのっ!?」
「それが俺の持つ秘宝の力ということだ。」
「…秘宝?」
減らない魔力を感じて戸惑う上矢遥に淡々と答える竜道寺だったが、
上矢遥には理解できなかった様子だな。
…だが。
もちろん俺は知っている。
秘宝『月輪の瞳』が持つ力の意味を知っている。
魔力の供給。
それが月の力だからだ。
遥か昔から月には魔力が宿ると言われている。
それが事実かどうかは別として、
月の名を冠する竜道寺の秘宝は所有者に魔力を分け与えるそうだ。
月の光を魔力に変えて、
所有者に魔力を与えるらしい。
だからこそ竜道寺の魔力が尽きることは絶対にない。
月が存在する限り。
竜道寺の魔力はほぼ無限と言えるからだ。
「俺の魔力が尽きることはない。それが秘宝の力だ。」
宣言と共に放つ魔術が上矢遥の体に襲い掛かる。
「ディバインデス!!!!」
掲げた魔剣から生まれるのは暗黒だ。
全てを飲み込み、
全ての存在を否定する絶対の闇が上矢遥の体を包み込む。
「い、いや~~~~っ!!!!」
響き渡る絶叫。
闇に飲み込まれた上矢遥の体が暗黒の中に消え去り、
後方に倒れている米倉宗一郎の体も包み込んでしまう。
「誰か…っ!助…け…っ……。」
暗黒の中で上矢遥の叫び声が虚しく消え去った。
そして二人を飲み込んだ闇は、
二人の命さえも掻き消そうとしていた。




