ライトニングソウル
《サイド:上矢遥》
「ねえ、遥。」
…え?
美和子に話しかけられたことで魔術の詠唱を行いながらも問い返してみたわ。
「どうかしたの?」
「遥なら…きっと大丈夫よ。」
大丈夫?
…何が?
「私は遥を信じてる。これから先に何があったとしても。これから先にどんな未来が待っているとしても…遥ならきっと乗り越えられるって信じてる。」
…美和子?
「一応、米倉元代表の治療は終わったわ。完璧かどうかは分からないけれど、きっと助かると思う。だから…だからね。遥…。」
私の名を呼んでから、
一方的に話しかけてきたのよ。
「遥は死なないでね。例えこれから何があったとしても…この先の未来に何が待っているとしても…遥は前を向いて生きていてね。それが…それだけが私の願いなの。それが私の希望で、私の生きた証だから…。」
「ね、ねえ?何を…言ってるの?ねえっ!?美和子っ!!」
「ふふっ♪」
焦りを感じる私に美和子は最後の笑顔を見せてくれたわ。
「大好きよ遥。あなたと出会えて良かった。あなたと過ごせて幸せだった。それだけは真実で、私の人生の全てだったと思ってる。だから、ね…遥。これから何があっても泣かないでね。そしていつまでも…いつまでも笑顔でいてね。」
「美和子っ!!!」
思い詰めた表情を見せる親友に手を伸ばそうとしたの。
だけど私の手から逃れた美和子は敵に向かって走り出してしまったのよ。
「遥に手出しはさせないわ!!私の命に懸けてっ!!!遥だけは絶対に守って見せる!」
想いを込めて魔術を展開する美和子が選んだのは魔導図書館で手に入れた最悪の魔術。
「ダメよ!美和子っ!!」
その魔術だけは使ってはいけないの。
「やめてっ!!」
必死に叫んでみたけれど。
美和子は詠唱を止めなかったわ。
「私の命が…あなたを貫くのよっ!!」
「美和子っ!!!!」
「…さよなら、遥。」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
別れの言葉を遺した美和子は、
自己犠牲魔術を発動させてしまったのよ。
「美和子〜〜〜〜!!!」
「…ごめんね。」
謝罪の言葉を最後に美和子は自らの存在を魔術に変換してしまったの。
「ライトニングソウル!!!!」
禁断の魔術を発動させた美和子は魔力も生命も魂さえも力に変えて、
一筋の稲妻となって敵の体を貫いて消えたのよ。




