治療優先
《サイド:大塚義明》
…そうそう何度も敗北するわけにはいかないだろう。
もう二度と負けないために力を求めたのだ。
そのために戦う道を選んだのだ!
「召喚!レッドドラゴン!!!」
僅かに回復した全ての魔力を精霊に注ぎ込む。
長野淳弥と米倉元代表。
芹澤里沙と矢野百花と芹澤啓輔。
そして上矢遥と笹倉美和子。
それぞれの場所から一人だけ離れた場所で、
俺も立ち向かうことにした。
「俺の目の前で仲間に手を出すことは許さんっ!!」
二度と仲間を失わない。
そのために敵に戦いを挑む。
「燃え尽きろっ!!!」
ドラゴンの口から灼熱の息を放つ。
紅蓮の猛火を見た敵は即座に炎に視線を向けていた。
「生温い炎だな。」
衝撃波を放つことで灼熱の炎をあっさりと消し去ったようだが、
その隙を仲間達は見逃さなかった。
「フェニックス!!!」
再び召喚する精霊によって攻撃を再開する芹澤里沙の攻撃に合わせて矢野百花と芹澤啓輔も攻撃を開始している。
「私達で時間を稼ぐわ!その間に米倉さんの救助をお願い!!」
「ええ!分かったわ!!」
芹澤里沙の指示を受けた上矢遥と笹倉美和子が米倉元代表の下に駆け寄っていく。
「美和子!急いで治療するわよ。」
「任せて!」
倒れた米倉元代表を救助しつつ回復魔術を展開する上矢遥と笹倉美和子に再び長野淳弥が駆け付けていた。
「忘れ物だ!受け取れ!」
少し離れた場所から回収してきた左腕を上矢遥に投げ渡している。
「…うっわぁ。」
戸惑いながらも左腕を受けとった上矢遥は即座に回収した腕を繋ぎ合わせているようだな。
「上手く繋がるかどうかは疑問だけどね〜。」
鋭い切れ味によって綺麗な切り口を残す左腕。
その断面だけを考慮すれば繋がる可能性は高いだろう。
「医師がいれば完璧だけど、今はそこまで望めないわ。」
魔術医師がいればすぐに終えられる治療だが、
上矢遥達に医学の知識はないらしい。
「ひとまず断面を繋ぎ合わせて、動くことを信じるしかないわね。」
まずは止血が最優先と判断したのだろう。
上矢遥は笹倉美和子と共に米倉元代表の治療を開始していた。




