きみに全てを
《サイド:長野淳弥》
…ちぃっ!!!
焦りと不安を感じながら慌てて米倉宗一郎に駆け寄る。
「しっかりしてくださいっ!!」
倒れた米倉宗一郎に全力で呼び掛けた。
「ここで倒れてしまったら、誰が共和国をまとめるのですか!?」
他に適任者なんていないんだ。
他の誰が死んだとしても、
米倉宗一郎だけは生き残ってもらう必要がある。
「諦めないでくださいっ!!」
「…すまない。長野君…俺のせいできみ達を巻き込んでしまった…な。」
…なっ?
そうじゃねえっ!
…そうじゃねえだろ!!
「違いますっ!!巻き込んだのは俺達のほうですっ!!俺達が!竜の牙が!あなたを巻き込んだんです!!」
悪いのは俺達だ。
竜の牙が動かなければ、
竜の牙が秘宝を求めなければ、
こんなことにはならなかった。
誰も傷付くことがなく。
誰も死ぬことがなく。
戦争も起きなかったはずなんだ。
「悪いのは俺達ですっ!!全て俺達の責任ですっ!!」
必死に謝罪する。
ただそれだけしか出来なかった俺に米倉宗一郎は微笑んでくれていた。
「やはりきみは…信じるに価する人物だったな。もっと…もっと早くにきみと出会っていれば…そしてきみを信用していれば…彼ではなくきみに…全てを託していたかもしれないな。」
…託す?
「それは…?」
秘宝のことかどうかを確認してみようと思ったんだが、
その前に米倉宗一郎は首を左右に振っていた。
「…いや、もう過ぎたことだ。」
米倉宗一郎だけが知る真実。
第3の秘宝の在りかは隠されたまま、
米倉宗一郎は俺に願ってきた。
「…すまない、長野君。あとのことはきみに任せる。俺の代わりに…共和国を守ってくれ。」
薄れ行く意識の中で、
俺にあとを託してくれたんだ。
「米倉さん…。」
「きみになら…全てを託せる。」
…くっ。
最後まで俺と向き合いながら、
米倉宗一郎は意識を失って眠りについてしまった。




