シャドー・オブ・デス
不意に瞬く黒い光。
空に広がる光に気付いた瞬間に、
俺の表情は驚愕に染まってしまっていた。
…なっ!?
「そんな馬鹿な…っ!?」
恐怖を感じて表情を引き攣らせる。
そんな俺の声を聞いて上空を見上げた米倉宗一郎も最悪の展開に気付いた様子だった。
「こ、これは…まさかっ!?」
米倉宗一郎も見覚えがある黒い光。
あの光が及ぼす破壊は嫌と言うほど知っているはずだ。
「まずい!?全員、防御結界を展開しろーーーーっ!!!」
大声で叫ぶ米倉宗一郎だが、
その判断はすでに手遅れだった。
黒い光は空を覆い尽くすように一瞬にして広がって、
朝の空を夜の暗闇へと変えていく。
その範囲は直径10キロを優に越えているだろう。
まだ午前中であるにも関わらず、
周囲一帯を夜が支配してしまうほどだからな。
「もはや手遅れかっ!!!」
絶望を感じて顔を引き攣らせる米倉宗一郎が死を覚悟した瞬間に史上最悪の暗黒が襲い掛かってくる。
「シャドー・オブ・デス!!」
男の声が耳に届いた瞬間に、
米倉宗一郎が闇に飲み込まれた。
「ぐあああああああああっ!!」
発動されたのは米倉美由紀を遥かに上回る暗黒魔術だ。
死の魔術が徐々に広範囲に広がっていく。
…くそっ!!
必死に闇から逃れるが、
俺の目の前で反応が遅れた大塚義明が闇に飲まれて姿を消していた。
「しまった!?大塚義明がっ!!」
一瞬にして消え去った大塚義明の救助に動こうとした直後に幾つもの悲鳴が背後から聞こえてくる。
「い、いや~~~~~っ!!!!」
「くっ!!ああああああぁぁっ!?」
里沙と百花の悲鳴だ。
二人の声を聞いて背後に振り返ってみると、
すでに二人も闇に飲まれて姿を消したあとだった。
…なっ!?
「里沙っ!!百花ーっ!!」
必死に叫ぶがすでに手遅れだ。
俺の視線の先で芹澤啓輔も闇に飲み込まれていく。
「くそぉぉぉぉっ!!!!!!」
悔しさを感じて叫ぶ俺に笹倉美和子と上矢遥が駆け付けてきた。
「歎いてる場合じゃないわよ!」
急いで防御結界を展開してくれた笹倉美和子のおかげで俺達だけは闇の侵食を免れたようだ。
「みんな飲み込まれてしまったわね。」
…ああ。
そしてこうなった以上、救出は不可能だ。
「竜の牙が攻めてきやがった!この魔術は奴の仕業だっ!!」
「え?奴?奴って、誰なの?」
…くそっ!
もう来たのかっ!!
戸惑う上矢に答えるよりも先に、
最も出会いたくない男が自ら歩み寄ってきた。




