態度が違いすぎる
《サイド:長野淳弥》
…はぁ。
里沙が戻ってくるとはな。
「ひとまずきみ達だけでも助かったのは喜ぶべきだろう。」
米倉宗一郎は里沙達の帰還を喜んでいるが、
俺としては別行動のままが良かったと思っている。
「エスティアの生徒が来てくれたからです。上矢さん達が来てくれなかったら確実に死んでいたと思います。」
「あら、そんなことはないわ。」
苦笑する里沙に、
上矢遥は笑顔を見せていた。
「私達が駆け付けるまでミッドガルム軍の攻撃を凌いでいたほうが凄いと思うわよ。」
数万の軍に囲まれた状況で生き残る自信は上矢にもないらしい。
だからこそ誰よりも素直に里沙の実力を認めていた。
「あなた自身が強かったから助かったのよ。」
「い、いえ…。百花が守ってくれたからです。私一人の力じゃないです。」
命の恩人の上矢に対して素直な態度を見せるのはいいが、
出来ることなら俺にもそうしてほしいと思う。
…俺とは態度が違いすぎるだろ?
ついつい里沙の笑顔を冷めた視線で見つめてしまう。
…まあ、面と向かって文句を言うつもりはないけどな。
それでも常に素直な態度なら余計な心労をかかえなくて済むとは思ってしまった。
…って言うか、俺だけ扱いがおかしいだろ?
どいつもこいつも…と思う俺の視線に気付いたのか、
里沙は俺を見下すような視線できつく睨み返してくる。
「…何よ?私に何か文句でもあるの!?」
「い、いや…。」
なくはないが、あるとは言えそうにない。
「無事に助かって良かったなって思っただけだ。」
「はあ?嘘ばっかり。」
あっさりと見抜かれている。
そして返せる言葉もなかった。
…相性が最悪だな。
出来れば一生関わりたくないんだが、
里沙が何かを企んでいる雰囲気を察したことでさっさとこの場から離れることにした。
…関わらないのが一番だからな。
少し離れた場所で休憩している大塚義明を見つけて歩み寄ろうとしてみたんだが。
…何だ?
声をかける前に事態が急変しようとしていた。




