無関係じゃない
《サイド:栗原薫》
「もう止めてっ!!!」
必死に叫んでみるけれど。
私の声は届かなかったわ。
何の力も持たない私の声は、
暴徒と化した市民達には届かなかったのよ。
「お願い!止めてっ!!」
必死に願ってみるけれど。
それでも私の声は届かないみたい。
憎しみの矛先を陸軍に向けて襲い掛かる市民達は、
全ての怒りを味方にぶつけようとしているからよ。
「「お前達が死ねばいい!!」」
誰かが叫んだ直後に。
すぐ傍にいたはずの御堂君が私の横を通り過ぎて暴徒の中に飛び込んでいったわ。
「やめろっ!!気安く死を望むべきじゃない!!!」
怒りにも似た想いで叫ぶ御堂君が魔術を放つ。
「ジ・ハード!!!!」
振り抜く刃が大地に激突したわ。
ただそれだけで強大な衝撃波が南門の周辺一帯へと広がって、
兵士達や市民達を強引に薙ぎ倒していったのよ。
「もう止めるんだっ!!!」
多くの人達が倒れた戦場。
その中心に立った御堂君が説得を始めてくれたの。
「仲間同士で傷付け合うなんて馬鹿げていると思わないのか!?兵士達は王都を守る為に戦っているんだ!!この町に住む人々の為に命を懸けているんだ!それなのに、味方を逆恨みするなんて僕が許さないっ!!!」
国も立場も関係ないわ。
誰かを守る為に命を懸ける想いを否定することが許せなかったんでしょうね。
「例え戦争を始めたのが王族や軍隊だったとしても!争いを止めなかった人々全員に責任があるはずだ!!」
…そう。
一般市民だからって無関係じゃないわ。
戦争に賛同しなくても、
戦争を否定しない限り同罪なのよ。
「セルビナ王国に住む全ての人々が同じ罪を背負っているんだ!!」
もちろんそれは共和国も同じだけどね。
多くの人々を殺してここまで攻め込んできた事実を否定することは出来ないの。
「僕達はみんな罪を背負っているんだ。それなのに自分達は関係ないなんて身勝手な考えは絶対に許さないっ!!」
戦争さえ起こさなければ。
ちゃんと戦争を否定していれば、
誰も死ぬことはなかったのよ。
天城君も、沙織も、多くの仲間達も。
みんなみんな死なずにすんだの。
だからこそ。
御堂君はこの場に集まる全員に宣戦布告したのよ。
「誰もが背負っているはずの罪から目を逸らすことは許さない!自らの責任を放棄して周りに罪を押し付けるのなら僕が全てを裁いてみせる!!全ての憎しみと悲しみを受け入れて、僕がこの手で全てを終わらせてみせるっ!!」
全ての罪を背負う覚悟を宣言してからルーンを掲げたの。
「戦いを止めないのなら僕が全てを叩き伏せるっ!!」
「「「「「………。」」」」」
威圧を込めて宣言した御堂君の言葉によって、
陸軍の兵士達も、
暴徒と化した市民達も、
言葉をなくして沈黙してしまったのよ。




