戦力不足を補う為に
《サイド:鈴置美春》
…これからどうなるのかしら?
疑問と不安を感じながらセルビナ軍の様子を眺めてみる。
南門に集結した陸軍の部隊は、
事前に予想していたように4万に達する規模になって共和国軍の正面に立ちはだかっているわ。
…って、あれ?
でも、これって何て言うか。
「ちょっと違うような…?」
はっきりとここが変って言えるわけじゃないけれど。
ちょっとした違和感を感じたことで、
近くにいた藤沢さんが教えてくれたのよ。
「たぶんあの部隊は寄せ集めでしょうね。おそらくだけど…今のセルビナには正規軍と呼べるような戦力が存在していないのかもしれないわ。」
…え?
正規軍がいない?
…ああ、なるほどね。
言われてみれば確かに、
統率が取れているようには見えないのよ。
そもそも海軍は静観しているし、
陰陽師軍も存在しない。
そして肝心の陸軍もほとんどが共和国側に派遣されていて、
多国籍軍との戦いによってほぼ壊滅しているらしいの。
まあ、国境での戦いの内容なんて私達には分からないけれど。
それでも普通に考えれば戦力と言える戦力なんて残っていないはずよね?
「あくまでも予測だけどね。王都を守る為の戦力が足りないんじゃないかしら?」
「…ですよね。」
「ええ、その戦力不足を補う為に一般人に武装させて頭数を揃えていると考えるのが一番妥当な判断だと思うわ。」
…確かに。
そんなふうに見えるのよ。
統制の取れていない部隊を眺めた藤沢さんは断言していたわ。
「各方面から駆け付けた部隊は正式な訓練を受けた軍人ではなくて、徴兵されて集まっただけの素人でしょうね。」
…う~ん。
本当の陸軍の兵士達は南門に布陣していた1万だけみたい。
「まあ、そこまで追い詰められてるっていうことだと思うわ。」
…なるほどね。
明らかに戦力外の一般市民に頼らなければいけないほど追い詰められているということよ。
だけど…だからこそ出来ることもあるわよね。
「戦いを望んでいない部隊なら、説得が出来るかもしれませんね。」
「ええ、可能性はあると思うわ。だけど…ね。」
少しだけ言い難そうな表情を見せてから、
藤沢さんは小さな声で呟いたのよ。
「説得出来なければ必要以上に犠牲を出す結果になるでしょうね。」
…やっぱり、そうなるのね。
戦う術を知らない一般人を相手に攻撃しなければいけないということよ。
そうなる可能性を考慮した藤沢さんは深く深くため息を吐いていたわ。
「セルビナ軍の決断次第では絶望的な戦いになるでしょうね。」
「どうにかならないのですか?」
「…こればっかりは相手の判断だから、私達にはどうしようもないわ。」
…ですよね。
出来ることは何もないって考える藤沢さんだけど。
二人で話をしていた間に御堂君達が帰ってきたの。




