答えが出せない選択肢
「「「「「………。」」」」」
静寂が支配する戦場。
多くの兵士達が俺達の言葉に戸惑いを感じて選ぶべき道を思い悩んでいる様子に見える。
だがまあ、それも仕方がないことだろう。
簡単には答えが出せない選択肢だからな。
目の前に共和国軍が布陣していて、
自らの命の危機が迫っている状況で戦闘の継続を選べる者などそうそういないだろう。
…とは言え。
王族を差し出すと言える立場でもないのだ。
兵士達はそれぞれに困惑の表情を見せ合うしかない様子だった。
…どうする?
兵士達の表情を眺めながら様子を窺ってみる。
説得と待機の僅かな時間の間に他の方面の守備についていた陸軍の別動隊が王都の東西と南門の奥から集まり始めているようだが、
今はまだこちらから手を出すつもりはない。
戦闘の再開は相手の決断を確認してからでも遅くはないからだ。
…どう動く?
セルビナ軍の判断はまだ分からないが、
王都の守りについていた部隊はこれで勢揃いなのだろうか?
町の四方に布陣していた陸軍が全て集結している様子なのだが、
それでも陰陽師軍の姿は見えないままだった。
…こうなると王城の警護に配備されているのかもしれないな。
もしもそうだとすれば、
ここで陸軍を退けても数万の陰陽師軍が王都の内部に潜んでいることになる。
…だとすれば、あまり無理は出来ないか。
ここで魔力を使い果たすようなことがあれば王都の内部で待ち構える陰陽師軍と戦い抜く力が失われかねない。
…今は説得を優先するべきかもしれないな。
セルビナ軍の規模はすでに3万を越え始めている。
対する共和国は1万4千のままだ。
現状では半数と言えるだろう。
…セルビナの全部隊が集結すれば、こちらが不利になるか。
どこまで増えるのか不明だが、
こちらの戦力は限られているのだ。
…死者を出さずにどこまで戦えるかだな。
そんなことも考えながら栗原君の手を引いて一旦後退することにした。
「一度、下がるぞ。すでに俺達の想いは伝わっているはずだからな。あとは俺達の想いが彼等に届くと信じてセルビナ軍の決断を待つことにしよう。」
戦争を続行するのか?
王族を差し出すのか?
セルビナ軍の決断を待つ為に様子を見るべきだ。
「ひとまず御堂君も下がっていてくれ。」
「はい。分かりました。」
俺と栗原君と御堂君の3人は、
セルビナ軍の動きを警戒しながらも共和国軍の陣営まで退くことにした。




