期待に応えるための努力
《サイド:栗原薫》
…うわぁ~〜〜〜。
これって全滅っぽいわよね?
セルビナの陸軍が壊滅した戦場を無言で眺めてみる。
…さすがに全滅っぽくない?
誰一人として生きていない可能性を考慮して戸惑ってしまったんだけどね。
「大丈夫だよ♪」
すぐ傍にいる成美は笑顔を崩さなかったわ。
「誰も死んでないよ♪みんなちゃんと生きてるよ♪」
…そ、そうなの?
私にはそうは思えないけれど。
成美は千里の瞳の力のおかげで全てを見通せるみたい。
まあ、まだまだ全ての力を使いこなすには至らないようだけどね。
それでも自分の瞳で見える範囲や、
一定の範囲内なら直感的に理解できるようになったらしいわ。
「誰も死んでないよっ♪」
…そう。
それなら良いんだけどね。
無邪気に微笑む成美の言葉を信じて御堂君に歩み寄ってみる。
「さすがね。御堂君。」
戦いを終えた御堂君に微笑みを向けてみたんだけど。
肝心の御堂君は疲れきった表情を見せていたわ。
「ちょっと…きついかな?」
…ああ、うん。
まあ、そうでしょうね。
極限まで高めた集中力。
そのせいで精神的な疲労を感じるとしても仕方がないと思うのよ。
「少し休んでたらどう?」
御堂君に声をかけてから、
私は私で自分の役目の為に動き出すことにしたの。
「…良いでしょ?」
「ああ、あとは栗原さんに任せるよ。僕に出来るのはこの程度だけど、栗原さんならその先に進めるはずだ。僕はそう思ってる。」
…そうかな?
自分ではよく分からないけれど。
期待に応えるための努力はしようと思うわ。
「ありがとう、御堂君。」
御堂君の励ましによって覚悟を決めることが出来たのよ。
…さあ、始めましょうか。
セルビナ軍も守るべき命と考えて、
痛みにもがき苦しむ兵士達の説得を始めることにしたの。




