独占欲
「い、いやああああああっ!!!!!!」
戦場に響き渡る悲鳴。
時間が止まったかと思えるくらいにゆっくりと動く世界の中で私達は現実を目撃してしまったの。
「兄貴…っ!!」
「芹澤啓輔!?」
私のすぐ側で倒れてしまった兄貴の腹部には、
私に当たるはずだった矢が深々と突き刺さっていたのよ。
「く…ぅっ!里沙…無事か…っ!?」
怪我をしたのは自分なのに、
兄貴は私を身を案じてくれていたの。
「お前は、俺のモノだ…っ。他の誰にも、渡しはしない…っ!お前を、殺せるのは…っ。俺、だけだ…っ。」
…うっっっっわぁ~。
結局、そこなのね。
独占欲を貫く為だけに私を庇ってくれたみたい。
…そういうことを言わなかったらかっこいいのに。
性格が台無しにしてるわよね?
「ぐ…っ!?がは…っ!!」
…ちょっ!?
「兄貴!?」
…口から血を吐くとか、重症すぎるでしょっ!
…って言うか。
すでに兄貴はルーンを失っていて、
魔力も底を尽きかけている状態だったわ。
…無茶するんじゃないわよっ!
兄貴自身も限界のはずなのに。
自分の体を盾にして私を守ってくれたのよ。
「もう余計なことは言わなくて良いから、大人しくしてなさいっ!!」
すぐに治療してあげようと思ったんだけどね。
「お前は…俺のモノだ…っ。」
…ちょっ!?
「………。」
こんな状況でも変わらない想いだけを残して、
私の目の前で力尽きて倒れてしまったの。




